僕は「サーブの原理」シリーズをはじめとして、多くの技術論のなかで、筋肉の名称やその働きについて言及しています。
それは、僕の技術論の主体が「なぜ、そのような動きになるのか」という「動きの原理」を説明しすることにあるからです。
「こうやって動くほうが、体にとっては自然ですよ」
「こうやってするのは、こういう理由ですよ」
ということを説明するときに、
「そのほうがパワーができるから」
とか、
「ショットが安定するから」
などという、いかにも明確に答えているようで、実はなんの説明にもなっていないようなことを言いたくないのです。
ただし、実際に、生徒に「どのように打つのか」を教えるときに、筋肉名を出すことはほぼありません。
「体を、こうやって動かして打つ」
というふうに、実践しながら教えます。
そのほうが、圧倒的に「分かる」からです。
最低限の用語を用いるときもありますが、それは、
「手首を手の甲側に曲げる」
などと毎回毎回言うよりは、
「背屈させる」
って言う用語を覚えた方が、説明がシンプルになる場合に限ります。
ただそれも直接動きを見せながらでないと難しく、このブログであれば、まだ必要最低限の画像を作成して掲載することも可能なので「こうやって打つ」ということを伝えるのもできますが、それでも限界があります。
YouTubeのコメント欄に、アドバイス的なものを書かないのはそのためです。
「どうやって打つのか」
を文字だけで表すのは不可能だと思っているのです。
ましてや、
「○○筋によって、前腕を回外させ、テイクバックをしながら上腕の外旋を……」
みたいなのを文字だけで書かれても、なんのことやら(笑)
それを、あの小さなコメント欄に書いてる人は、本気で「伝わる」と思ってるんだろうかと、不思議に思ってしまいます。
必要な情報を全て文字にすれば、相手に伝わるわけではないのですから。
例えば、手首の動きを説明する用語として、背屈、掌屈、がありますが、これは手のひら側に曲げる、手の甲側に曲げる、という動きを見せてから、
「これを背屈(掌屈)っていうんだよ」
と説明し、漢字も教えておくと、生徒はだいたい覚えてくれます。
ただ、撓屈、尺屈は、覚えられません(笑)
「親指側に曲げる」「小指側に曲げる」という言い方のほうが圧倒的に分かりやすい。
というか、僕の理論の中に、撓屈・尺屈を意識的に行うような動きがないので、用語を覚えてもらう必要性もない。
次に難しいのが回内・回外と内旋・外旋です。
いや、回内・回外と内旋・外旋の動きそのものはすぐに覚えられます。
しかし、腕を曲げたり伸ばしたり、挙げたり下げたり、広げたり閉じたりしていると、自分の腕が今どっちにひねられているのか、分からなくなる人がめちゃめちゃ多い(笑)。
それを、言葉だけで人に教えることそのものが、ナンセンスなのです。
僕のブログのように、画像を使ってでさえ、何回も読み直さないとダメだと思いますし、ましてや文字だけではなんのことやら。
実際に生徒に教えるときには、ラケット面の向きで教えた方ほうが圧倒的に分かりやすい。
さらに、これも、僕の理論の中には、前腕は回外して、上腕は内旋する、なんていうふうに「意識して」行わせるものがありませんしね。
【次回へ続く】