これまでいろいろ書いてきた内容も、いろんなチームビルディングの経験や本の内容を、自分なりにまとめたものです。
つまり、こういうものは、人が「チーム」を作ろうとしたときによく生じてしまう、ありふれた問題で、だからこそ特効薬などもない。
僕もチームビルディングの失敗を何回もしでかしています(笑)。
一番の原因は、やはり、目標を共有できない選手が入ってくること、です。
うちの部活の場合「来る者拒まず」の体制でやっているので、様々な生徒が入部してきます。
コンスタントに、やる気のある生徒も多く入ってきますし、何年かに一度は能力も高い選手が入ってくるので、そのときにはベスト4に入ったり、地方ブロック大会に出場したり、という状態になります。
が、同じぐらいの確率で、どうにもこうにもできない選手もいる(笑)。
チームビルディングは最初の数ヶ月が大事。
ただ、高校生にもなると完全に人格が形成されて、言葉は悪いですが、すでに曲がりくねった特性をもった生徒だと、その数ヶ月ではどうしようもないのです。
そういう生徒が、部活動を通して成長していく頃には、部活動の引退を迎えているのです。
やはり、そういう生徒がいる世代というのは、勝てない。
逆に、そういうどうにもできない特性を持った選手さえいなければ、通常、部活動をしようと思っている生徒たちの多くは、チームビルディングを間違えなければ、必ず「良いチーム」にすることが可能です。
僕が気をつけているのは、やはり、最初からC象限にできるだけしないこと(D象限はいうまでもなく)。
そして、もしもC象限になってしまったとしても、できるだけ上方向で踏みとどまること。
ここだけです。
というか、他にやりようがない(笑)。
だからこそ、大会前の追い込み時以外は、全員同じメニューを均等にこなすようにしていますし、グループ分けも、じゃんけんなどでランダムにするようにしています。
また、練習内容でもアイスブレイク的な内容が盛り込まれたものにしたりしています。
以前「練習の雰囲気は誰が作る?」や「声出しのルール」でもお話ししていますが、うちのチームでは私語を禁止していません。
もちろん、説明をするときなどには厳禁ですが、練習中は一切私語はダメ、みたいな状態では決してありません。
この「私語」を嫌がる教員というは非常に多いのですが、そういう教員のチームに限って「互いに意見を交換する」という雰囲気さえない場合が多いのは皮肉なものです。
「ファイトー」みたいな意味の無い掛け声はあったり、誰かのミスを叱責する声はあがっても、選手同士で「話し合う」場面は見られなかったりします。
もちろん理想は「私語はせずに、競技のことについてだけを話す」というものでしょうが(笑)、理想を追い求めるために、手法を間違えて、本末転倒になることだけは避けているのです。
誰かのミスについても、その場で笑ってツッコんで終わり。
必ず技術的な「改善点」を提案したり、指摘する終わり方にする、という態度を、顧問が示す。
まずは、いつでも四象限マトリクスの上半分になることのできる素地は温めておく、というのを大切にしています。
【次回へ続く】