また、アプローチ・ショット → ボレーの「流れそのもの」を習得することが目的のときには、1本目の球出しは手出しでよいと思います。

 

 

 アプローチ・ショットを打つのにちょうど良い球出しって、意外に難しく(笑)、例えば、年中球出しをしていて慣れている僕なら出せるのですが、生徒に球出しをさせるときは、上級生でないと思ったところに出せない。

 

 球出しが長すぎて、エンドライン付近で打つことになったりすると、それこそ、そんな後ろからアプローチすることは実戦ではあり得ないわけで、やり直しをせざるを得なくなる。

 

 それに時間を取られるぐらいなら、アプローチ・ショットそのものの習得は別の機会と割り切って、1本目を手出しにした方が効率がよいわけです。

 

 また、後方からネット方向への手出しの球出しを、追いかけるようにアプローチ・ショットを打つと、足の運びが自然なものとなることが多いので、是非取り組んでみましょう。

 

 

 これらのアプローチ&ボレーの球出し練習は、スペースとしては、アプローチ・ショットの方向さえ気をつければ、1コート2列でできると思いますし、 さらにこれを、アプローチからのポイント・ラリーという形で行えば、より実戦的になりますし、ダブルスでも応用可能です。

 

 そしてこの練習をやる上で注意する点がいくつかあります。

 

 1つは、ネットに詰める「競争」のような練習にしないこと

 

 これが一番よくあります。

 

 毎年、この練習を、やり方だけを教えて何の解説もなく生徒にやらせてみると、ほぼ確実に、ネットダッシュして、ネットに詰めることに一生懸命になるばかりで、フットワークに全く気をかけなくなります。

 

 ただただダッシュしてる最中に、飛んできた球出しにラケットを出すだけのボレー。

 

「シングルスの戦術 まとめ その32」でも書いたことですが、本来であれば、ボレー直前に「スプリット・ステップ」を入れるべきです。

 

 が、実際のプレイで、「スプリット・ステップ」を余裕を持って入れられる場面というのはかなり限られてきます

 

 よく、練習などで、全力のネットダッシュの後、急に大げさなぐらいに大きくジャンプをして「スプリット・ステップ」をする人がいますが、実際の試合では、相手がパッシングショットを打つタイミングなどはコロコロ変わりますし、大きなスプリット・ステップは、どうしても足を「踏ん張る」形になるため、かえって次の動作が遅くなってしまいます。

 

 踏ん張らなくても良いようなダッシュの遅さならば、それはそれで問題ですし。

 

 ですので、うちのチームでは「ちょこまか動く」というふうに教えています。

 

 アプローチの後、ネット・ダッシュをした後に、相手がテイクバックをとったら「ちょこまか動く」。

 

 そして、インパクトの瞬間に止まって、左右どちらのショットにも対応できるようにします。

 

 これを繰り返すと、ダッシュ→減速→スプリット・ステップという流れが、自然と身につくようになります

 

 また、しっかりとステップを踏んでからボレーをすることで、ボレーの成功率が上がることを実感できれば、闇雲にネットに突っ込むようなダッシュをしなくなります。

 

【次回へ続く】