そして、3回以上の連続サイドステップ、早い準備で後ずさりステップ、どちらにも共通している最大のデメリットは、軸足となる右のつま先がボールに対して横方向どころか、完全に少し斜め後ろに向いてしまうことです。

 

 3回以上の連続サイドステップは、足を大きく開いて腰を落とし、ヒザを曲げたサイドステップを多用することになります。

 

 足を開きヒザを曲げると、どうしても股関節が外旋してつま先が外を向きます。

 

 また、後ずさりステップは、最後の一歩でストップするために右足を踏ん張った瞬間、拇指球に力が入りやすいように、やはりつま先が外側を向きやすくなるのです。

 

 つま先が外側、つまり斜め後ろ方向に向いてしまうと、前方への「蹴り出し」を原動力としたスクエア・スタンスでさえ、強く打てません

 

 それでも打とうとするなら、クローズスタンスと同じ原理で「逆ひねり」を使った打ち方となり、そういう人は打ち終わりに右足が左足の後ろで大きくクロスします。


 スクエア・スタンスで弱いなりにも打てたとしても、スクエア・スタンスではショットを打つ方向が読まれやすくなりますし、スクエア・スタンスで打てるほどに余裕があるときしか回り込めない、ということになると、ますます使い道のないショットになってしまいます。

 

 ましてや「オープン・スタンスは両足で? その3」でもお話したように、オープンスタンスの「蹴り上げ」動作を効率よく行うには、右つま先が骨盤に対して内側を向くように体をねじる必要があり、脚が外旋してつま先が外側を向くと、その時点でオープンスタンスでは強く打てなくなる

 

 もしくは、一部のプロのように異常に内転筋が強く、つま先が外側を向いていても、そこから股関節を捻り込むように回転軸を作れる人ならば、両足でジャンプするようにして打てるかもしれませんね。

 

 一方、見た目上、逆クロスステップも同じような動きのように見えますが、逆クロスステップの場合、まだ骨盤は前方を向いた状態で、脚を先行して後ろに回しています

 

 実は膝を伸ばした状態での、つま先の方向は、股関節の向きに大きく依存しています

 

 逆クロスステップは軸足(右利きフォアの場合、右足)の「内転」という動きになるのですが、この「内転」という動きを引き起こす「内転筋群」は、同時に股関節の「内旋」に作用する筋肉群でもあります。

 

 そのため、逆クロスステップにすると、自然とつま先が「内股」の形になり、スクエアスタンスの場合にも、強い「蹴り出し」を作りやすく、またオープンスタンスの場合にも、いわゆる「タメ」を作りやすい状態になるわけです。

 

 そこから微調整のサイドステップを跳ねるように行う程度なら、つま先が極端に外を向くようなこともありません。

 

 そういうことを勘案すればするほど「3回以上の連続サイドステップ」も「早い準備で後ずさりステップ」も「打てないことはない」のかもしれませんが、デメリットがあまりにも多く、上達の妨げになる可能性のほうが高いのではないか、ということになります。

 

 実際の動きとしては(右利きの場合)

 

「(コート右側で)打つ」

→「クロスステップで戻る」

→「スプリットステップ代わりにサイドステップ」

 

 という流れでレディポジションに戻り、ボールが自分のバック側(左側)に飛んできて「回り込める」と判断しながら、

 

「左足から1歩目」

→「距離が遠ければクロスステップを入れ」

→「反転準備(一旦正面を向くため)のサイドステップ」

→「逆クロスステップ(コンパスの回転)」

→「微調整のためのサイドステップ(2回まで)」

→「ショット」

 

 というのが僕の理想です。

 

 みなさんもぜひ、自分の回り込みフォアのときのフットワークを、もう一度確認してみてください。