「ピーキング」と「テーパリング」という言葉をご存じでしょうか?
ピーキングとは、大会や試合当日に、体調的な「ピーク」をもっていくこと。
テーパリングとは、適切なピーキングのために、試合前から徐々に練習量を調整し(減少させ)、トレーニング効果を残しながらも疲労を取っていく方法です。
一般の高校の部活動では、さすがにそこまで細かい計画を立てられるわけではありません。
科学的なデータに裏打ちされたテーパリングを行っているのは、一部の強豪校だけではないでしょうか。
僕が参考にさせていただいているテーパリングの書籍は、これです。
詳細は本を読んでいただいたほうが分かりやすいと思います(笑)
一般的に流布している「超回復理論」ではなく、最近注目されている「フィットネス-疲労理論」をもとにテーパリングを行なって、ピーキングを最適にしましょう、という内容です。
僕の周りでも、いわゆる「超回復理論」をもとにしたピーキング、テーパリングを、意識してかどうかは別にして、やっている先生やコーチはいっぱいいます。
かく言う僕も、数年前まではやってましたから(笑)
ただここ数年来、そのピーキングの方法がしっくりいかないことに疑問を持つようになりました。
以前、「コンディショニング」という記事で書かせていただいたのもそのためです。
それまでは「超回復理論」の考えはそのままに、「やり方が間違っている」だけだと思っていたのですが、ここ数年は「考え方そのものが間違ってるんじゃないか」と思うようになっていたのです。
それで、ここしばらくは、いわゆる「試合前に追い込む」という形の練習はしていませんでした。
そんなとき、最近見つけたのが上記の本で、考えがしっくりくるものでした。
現在ではこの「フィットネス-疲労理論」をもちいたテーパリングを目指しています。
とはいえ、先ほども言ったように、うちのチームではテーパリングをがっつり行うことが難しい。
というのも「フィットネス-疲労理論」を元にしたテーパリングでは、テーパリングの前までの通常の練習でしっかりとフィジカルトレーニングなどを行い、疲労が溜まった状態でこそ、テーパリングの意味があるからです。
それがまずできません(笑)。
注意しなければいけないのは「超回復理論」と違って、「フィットネス-疲労理論」では、テーパリングに入る「直前の追い込み」を行わない、ということ。
ですから、普段、強度の低い練習をしておいて、2週間ぐらい前に急激にフィットネス強度を上げて、そこから「超回復」を臨んでもだめ、というのが最近の考え方なのです。
となると、うちのような進学校ではなかなか難しい。
プロアスリートと違い、生徒には「学業」という本分があります。
朝から夕方まで授業をしっかりと受け、さらに課題を家でこなさないといけない。
部活から帰ったら毎日寝てしまって課題ができない、とか、部活の疲れがとれなくて授業中寝てしまう、なんてことは許されないので、どうしても練習の強度や量は手加減せざるを得ません。
それでも生徒は「疲れる」と言いますし(笑)、僕も「ギリギリ」を狙ったメニューを考えており、決して楽な練習をしているわけではないので、どうしても疲労は溜まります。
そのため、多くの本を読むと、テーパリングは2週間程度のスパンで行うのが良いらしいのですが、うちのチームでは1週間前からの短めなテーパリングにしています。
カーボローディングと同時並行で生徒にはやってもらいたいので、食事についても、炭水化物を多く取るように指示します。
注意点は、これはネットでも検索するとすぐに分かることなので調べていただきたいことなのですが、このピーキングによって得られる効果は平均で「+3%」に過ぎません。
ピーキングが上手くいくと、劇的に体が動くようになったり、今までできなかったことができるようになったり、なんてことはないんだ、ということを分かっていくことも大切です。
となると、問題は、我々素人に、その3%の差が体感できるものなのか?ということ(笑)。
ですので、生徒へのイメージとしては、
「いつもできることが、フツーにできれば、ピーキングは成功」
というふうに伝えています。
「疲れが溜まって動けない」
なんてことがなければ、田舎の普通科高校の女子高校生としては、大成功なわけですから。
意外と、スポーツ歴が長い方でも、ちゃんとテーパリングをしている人は少ない。
「疲れが残らないように」と、前日など直前の練習を早く切り上げる、ぐらいの工夫しかしていない方も多いのでは無いでしょうか?
ぜひ、自分にあったテーパリングを行ってみてください。