では、うちのチームでのトレーニングの一部だけ紹介したいと思います。
全部紹介すると、バレちゃうので(笑)。
うちでは、前回までに紹介したスタビライゼーションのなかでも動きがあるものを選んで行っています。
一番の基礎としてやっているのが「フロントハイプランク+ショルダータッチ(タップ)」です。
昔、カーリング女子の日本代表がトレーニングで取り組んでいるのをみて、真似しました(笑)。
これを、うちのチームでは、足をイスなどの高い位置にのせ、負荷を増やしておこないます。
タイミングも、動画のようにゆっくりではなく、メトロノームで音を出しながら行い、1分間120~150回でタップします。
これは腹直筋+脊柱起立筋だけでなく、肩甲骨周りの筋肉や三角筋にけっこう負荷がかかります。
激しく動かすようなトレーニングではないので、安全に肩周りの筋力向上を目指すことが可能です。
メディシンボールがある場合には、1個だけ準備し、片方の手の下に置きます。
たとえば右手の下にメディシンボールを置き、左手で右肩をタップするときには、そのバランスボールの上で右手1本で体を支える、という感じにすると、一気に負荷があがります。
メディシンボールは1回ごとに左右入れ替えると大変なので、1セット目を右手の下でやったら、次のセットは左手で、というふうに時間ごとに左右で入れ替えます。
メディシンボールはサッカーボールやバレーボール並の大きなものを使いますが、重さによって硬さが違うものがありますので、注意してください。
硬いとバランスが取りづらく難易度が上がる反面、柔らかいと手首が痛くなるので注意してください。
いわゆる腕立て伏せ(プッシュアップ)もたまにさせますが、気まぐれでさせるだけです(笑)
筋力トレーニングといえば「腕立て伏せ」がすぐに思い浮かぶぐらいにメジャーなトレーニングですが、これが難しい。
そのフォームによって、鍛えるところがまっっっっったく変わってしまうからです。
たとえば、皆さん、腕立て伏せって、どこを鍛えるトレーニングとしてやってますか?
もしくは、やってましたか?
腕立て伏せを30回やって、一番疲れるのはどの筋肉ですか?
生徒にやらせた場合、ほとんどが二の腕の後ろ側、つまり上腕三頭筋なんです。
が、僕としては腕立て伏せ(プッシュアップ)を大胸筋を鍛えるトレーニングとしてやってほしかったりします。
しかし、そのためには肩甲骨を背中側で寄せた状態で動かないようにし、腕を伸ばしたときに肩をすぼめてはいけません。
またそのためには「適度な」幅に手を広げなければいけませんし。
そこらへんのフォームを習得することそのものが難しいのです。
あ、でも、この腕立て伏せ(プッシュアップ)を、上腕三頭筋を鍛えるためのトレーニング、としてやっているなら、それはそれで成功なんだ、ということも忘れてはいけません。
しかしそのためには逆に手を置く位置の幅を狭めなければならなかったり、心持ち上に置いたり──といった、また別の注意点が必要になります。
つまり、かなりの知識を導入しないと「狙ったトレーニング」にはなりにくいのです。
ビンボー公立高校では、潤沢なトレーニング機器もありませんから、自重トレーニングに頼らざるを得ないのですが、そうなるとどうしても、個人差が大きくなってしまう。
特に筋力がない選手ほど、回数をこなすことだけを優先するために、フォームが崩れやすくなり、本末転倒になってしまいがちです。
その点、スタビライゼーション系のトレーニングは、できる・できないは別にして、フォームのチェックポイントが明確ですから、生徒どうしでも注意し合えます。
それに、今回のショルダータップのような動きを入れると、簡単に負荷があがり、狙った部位の筋力トレーニングにもなるわけです。
【次回へ続く】