Twitterのほうで、以下のような質問をいただきました。

 

「高校で外部コーチを招いてテニス部の強化を図るというのは規則的に可能なものなのでしょうか?

 

 外部からコーチを導入するといった取り組みは進んでいかないものなのでしょうか?」

 

 というものです。

 

 Twitter上でお答えはしているのですが、全体がかなり長文になってしまいましたし(笑)、あためて、加筆訂正を加えながら、このブログで、外部コーチ導入の現状などについてご紹介したいと思います。

 

 

 

 いくつかの観点があります。

 

  まずテニスのできる顧問の場合、生徒の学習状況や学校生活を直接指導できている上に、自分もテニスの指導に積極的な場合、つまり自分自身が指導を行いたい場合、外部コーチをお願いすることはありません。 

 

 僕の場合はこれになると思います。

 

 逆に自分がテニスを知らないため、外部コーチをお願いする場合があり、これが事例としては一番多く、また期間も長いものが多いと思います。

 

 ただしどの自治体でも謝礼程度のコーチ料しか準備できないのが実情なため、人脈を頼ったり地元の方や卒業生などにお願いすることが多くなります。

 

 さらに部活動に積極的だからこそ、外部のコーチによる違った観点での指導を求めて、外部コーチに依頼される場合もあります。

 

 ただし、その場合は、1日から数日、また年に数回などの短期のものが多くなる傾向になります。

 

 そして、これは本当はあってはならないのですが、顧問が部活動に不熱心で、外部コーチを依頼する意欲さえない、という場合もあります。

 

 学校部活動の意義や外部コーチ依頼の趣旨を考えると、教員が行う教育的な活動も担っていただける人格者である必要もあり、そのうえ放課後に時間の空いている安価な謝礼で快く引き受けてくれるような、そんな都合の良い人はなかなかいません。

 

 一番大きいのは生徒のモチベーションです。

 

 外部コーチを依頼しておきながら、やる気のないチーム、というのでは意味がありません。

 

 すべての部活動が必ずしも外部指導者を必要としているわけではない、というのも大きいと思います。

 

 一番の理想は顧問である教員の裁量で、外部コーチを必要とするかどうかを判断、依頼し、適正な報酬をベースに、人間的にも信用のできる方にコーチングをお願いする、というものです。

 

 が、問題がいくつもあります。

 

 1つめが先ほども書きました人材の不足です。

 

 お気づきかもしれませんが、部活動の外部委託を強く主張する方々の多くは「都会に住んでいる」「経済的に余裕がある」また逆に「スポーツそのものに興味がなく『好きなやつがやればいい』と思っている」というタイプの方が多い。

 

 過疎化が進み、クラブチームなど存在しない地方自治体が山ほどある中で、スポーツに親しみたい高校生がどうすればよいのかを、誰も教えてくれません。 

 

 「本当に好きなら通えば良い」「通えないぐらいの気持ちならお遊びでやればよい」「自分たちでチームを作ればいい」などという、現実主義を気取った、ただの無責任論をかかげて逃げられるばかりです。

 

 2つめに経済的な問題です。

 

 これは人材不足とも関連しますが、過疎化が進む地方ではクラブチームの存続さえも危うく、高校での部活動以上に、選択肢が限られる可能性が高い。

 

 これについても、理想論ばかりが選考し、現実的な「解決策」を誰も示してくれません。

 

 外部コーチを専門に派遣するビジネスがもしも成り立つとすれば、それは高校も多く、人材も豊かな都会だけなのです。

 

 3つめに学校現場の現実です。

 

 外部コーチの依頼が増加する一方、それに比例して、外部コーチに関するトラブルも増えているのが現実です。 

 

 生徒との対立、体罰(これは教師だから起こる問題ではないのです)、保護者との諍い、教員との対立などなど。

 

 このとき、この外部コーチの生殺与奪の権限を誰が持つのか、実は曖昧です。

 

 なぜなら学校は「お願いして」来てもらっているのであり「雇用主」ではないからです。

 

 そのため、そのような「トラブルが起こらない」ということを人選の際の最優先事項にすることとなり、人となりが把握しやすいよう、教員の個人的な人脈などに頼らざるを得ず、大きなビジネスには発展しない要因となります。

 

 これらの要因が重なり、外部指導者を招聘・依頼するシステムとして未熟ながりにも各自治体、学校で準備されながらも、活用しきれていないのが現状です。

 

 

 

 これが、僕の回答でした(一部、加筆訂正してあります)。

 

 昨今の新型コロナウィルスのバタバタで、教員の働き方改革もどこへやら。。。。

 

 財源の確保がますます難しくなり、外部コーチ委託がビジネスとして成り立たない以上、「ボランティア」を外部に委託するか、教員がやるかの違いでしか無くなってしまいます。

 

 それぐらいなら、教員の余計な仕事(事務処理、強制的かつ有効性のない会合、無理矢理生徒を参加させられる県のイベントなど)をなくしてくれれば、教員のボランティアで、みんなで分担すれば、なんとか廻るんじゃない?って思っているのです。