部活導入部のシーズンでは、教員間でも、
 
「○○部、何人入りました?」
 
 という会話、というか情報交換がなされます。
 
 1年生という限りある「資源」(笑)を、それぞれの部活動が奪い合うという惨劇。。。。(笑)。
 
 その会話で、僕が、
 
「あ、4人でした」
 
 と答えると、数年前などは、
 
「あらぁ、それは少ないなぁ」
 
 と同情されたものです(笑)。
 
 が、実は僕は各学年4~6人ぐらいがちょうど良い、とずっと思っていて、しかもそれが何年も続いた上で部活動としてしっかりと活動もでき、結果も残せているため、ようやくここ数年でそれも定着してきました。
 
「部活動の目標設定」で、チームの人数についてのお話が出てきましたので、今日はそれについて触れていきます。
 

 
 部活動にも「数は力」という考えがあって、この春先の新入部員募集の時期には、どの部活動も人数確保に躍起になります。
 
 特に団体競技の場合には、3年生が引退した後、1,2年生だけになっても大丈夫な人数確保が至上命題。
 
 サッカーなど、負傷者が出やすい競技だと、各学年で最低でも7、8人以上はコンスタントに入部してくれないと厳しくなる。
 
 野球などはポジションや打順の関係がよりシビアですから、適性にあった人材が必要で、人数が多いに越したことはない。
 
 投球回数制限が未だルール化されていない中でも、生徒の健康を考えれば、ピッチャーは複数必要ですしね。
 
 人数が多ければ多いほど、適性のある人材が存在する「確率」が上がります。
 
 全ての高校生の運動神経が優れているわけではもちろんありません。
 
 運動部に入ろう、と思う生徒に限ったとしても、運動能力はピンキリです。
 
 あくまでも確率の問題ではありますが、ある一定数の「良い選手」をそろえようと思えば、数が多ければ多いほどよい、ということになるのです。
 
 ただ、田舎の公立高校ではそもそも生徒数に限界があります。
 
 どうしても新入生の「取り合い」になる場合があるのです(笑)。
 
 下手をすると、教師がそういうことをしてしまう。
 
 学校全体の部活動の活性化、という教育的な観点を忘れ、自分が担当している部活に運動能力が高い選手を引き込もうとする教員も、なかにはいるのです。
 
 うちのチームの場合、学校のある地域ではジュニア出身の選手がコンスタントに入ってくるわけでもなく、ソフトテニス経験者さえ1人でも入ってくれれば御の字、という状態です。
 
 そのうえで、最近では積極的な勧誘はしないようになりました。
 
 2,3年生にも、
 
「4~6人が一番良い」
 
 っていうふうに伝えています。
 
「人数の多さよりは、やる気のある子が入ってくれる方を優先しよう」
 
 ということで、あえてこちらから声かけはしないようにしているのです。
 
 テニスの場合、もともとは個人競技ではありますが、多くの学校は団体戦に力を入れています。
 
 うちのチームも同様です。
 
 一部の強豪校のように、普段はクラブチームでの練習がメインで、大会が近くなると学校で集まって「合わせ」の練習だけをしてチームとして出場する、なんていうのもありますが。
 
 春季総体ではダブルス×1、シングルス×2の4人+控え×1の計5名が団体登録をされます。
 
 また選抜大会、そしてその予選にあてられることが多い新人大会では、ダブルス×2、シングルス×3の7人+控え×2の計9名が団体登録になる。
 
 3年生の引退後、1,2年生のみの新人大会で最低でも7人が必要ですから、1学年4人がいれば良い計算になります。
 
 現に、うちのチームの場合、今年の卒業生、3年生、2年生はいずれも4,5人。
 
 今年の新入生もちょうどいい人数でした。
 
 もちろん、人数が少なすぎて団体戦に出られない、というのでは困ります。
 
 また人数が少なすぎると、意外と練習メニューが少なくなる、ということも起こりえる。
 
 顧問が練習に行けないときに、ラリーやゲームぐらいしかやることがなくなったりするからです。
 
 実戦的で有意義な球出しは、結構、技術が必要で、1年生の後半ぐらいから練習をさせて、ようやく2年後半で使い物になる感じ。
 
 ですから、少なくとも上級生どうしで球出しがしあえるぐらいの人数は必要なのです。
 
 僕にとっては、毎年4,5人がコンスタントに入ってくるぐらいの人数が、一番練習メニューの豊富さを確保しながら、しかも一人当たりの打数もかなり確保できる、という良いバランスになっています。
 
 他の大規模校に比べると、チーム人数は半分以下になるのですが、それでも十二分に戦えているのは、「数は力」による確率論で良い選手が出てくるのではなく、選手たちが練習の多さで技術力をアップしている証拠だと思います。
 
 大規模校の選手になると、もちろん上手な選手もいるのですが、いわゆる一番下手な選手の差がすごく大きい。
 
 うちのチームの一番下手な初心者の選手でも、大規模校のチームの初心者には簡単に勝てるようになります。
 
 やはり、それだけ、少ない人数のおかげで何回打てたか、ということがすごく大きいのだと思います。
 
 僕自身も選手一人一人に目が行き届きますし、1学年に10人以上いるチームと比べると、1人1人が打てるボールの数、時間が2倍になるわけですから。
 
 この春の新入部員の少なさに悩んでいたテニス部のみなさんは、どうかその状況を逆手にとって、みんなで質の高く、密度の濃い練習を維持してみてくださいね。