久々のダブルスの戦術論です。
今回は「アンダーサーブの対処法」
かなり特殊な例になるかと思いますが、しばらく、おつきあいください。
以前(もう3年も前になりますが)、「ショットが短くなったとき その19」の中で、
前衛アタックは、オプションの一つとして、僕がやってみせることはあるけれど、教えることはしない
という感じのことを書きました。
これは、今でもそうです。
ラリーの中で、相手のショットが短くなるたびに前衛アタックを打つようなチームにはしたくない、ってだけなのですが(笑)。
ただ、唯一、前衛アタックの練習をすることがあります。
それは、相手がアンダーサーブを打ってきたとき、です。
アンダーサーブは、女子高校生の試合では、1,2回戦で、たまーーーーにいます。
うちのチームでは、アンダーサーブそのものを打たせません。
その分、サーブ練習に割く時間はけっこう長い。
が、サーブをしっかりと教えないチームでは、ダブルフォルトを連発してしまうので、セカンドサーブは、
「入らないぐらいならアンダーサーブで確実に入れろ」
という指導をされることがたまにあるのです。
まあ、ダブルフォルトを連発したら、試合になりませんからね。
アンダーサーブだと、強いリターン──ときにウィナー級のリターンを返される可能性が高くなるのですが、その1本を何とかしのげば、2,3本とラリーをするなかで「イーブン」に戻すこともできますし、何より、アンダーサーブを意識しすぎたリターナーがミスをすることも結構多い。
チャンスボールのように見えるので、どうしても力んでしまうからです。
そして最終的には、当たり障りのないショットを相手後衛にただただ返す、というリターンになってしまう。
うちではそうならないために、
「アンダーサーブが少しでも短くなったら、1本目のリターンは前衛アタック」
と決めています。
その最大の目的は、相手後衛に、
「アンダーサーブを打つと、前衛に迷惑をかけるから、ダブルフォルトを覚悟してでも、上から打たなければ」
と思わせることです。
前衛アタックそのもので点数を取ることでも、ましてや相手前衛をつぶすことそのものでもありません(笑)。
ターゲットは、相手後衛の心理面なのです。
だからこそ、長いアンダーサーブの時には無理はさせない。
ですので、この前衛アタック・リターンは、スピードよりもコントロール重視。
もちろん、最低限のスピード──相手前衛が体を裁いてキレイにボレーできないぐらいのスピードは必要です。
が、どんなに強いショットでも、体から離れた位置に打たれると、それほど怖くない。
最悪なのは、相手前衛が手を伸ばすとちょうど届くぐらいのところにショットを打ったり、力んでショットを打って、ふかすようにボールがあさっての方向に飛んで行ってしまうことです。
徹底して、相手後衛が構えている真正面の胴体を狙って、高さもネットすれすれのショットを打つようにします。
通常のラリー中の場合、相手後衛のショットが短くなるのを予測するのは難しいですが、サーブであれば、ペアである相手前衛ならば分かっているはずです。
なので心の準備ができている選手が多く、こちらがコントロール重視でショットを打てば、まず危険性はありません。
リターナーとしては、出会い頭にボレーされてしまったときのことを考えて、すぐに構えておけば大丈夫。
何度も言いますが、最大の目的は
「アンダーサーブを打つと、前衛に迷惑をかけるから、ダブルフォルトをしてでも、上から打たなければ」
と相手後衛に思わせることですので、前衛アタックそのもので連続ポイントが取れなくてもかまわないのです。
相手前衛がびびってくれればOKということです(笑)。
つまり連発はしません。
印象に残ってくれればよい。
ただ、仲間内での試合や、ウィークエンドプレイヤーがやると、かなりひんしゅくを買いますのでご注意を。
うちは安全性と効果を最大限に高めるために、ちゃんと普段からアンダーサーブのリターンを練習に入れています。
試合になったから急にやる、なんてことはしません。
なんの練習もせずに力任せに打つのはただの「バカ」です。
友達もなくします(笑)。
「巧妙な戦術」と「あざとい手法」との違いは、最終目的の違いです。
この前衛アタックでポイントを取ることそのものが目的ではないことを、相手選手に分からせることで、アンダーサーブを封じることが目的なのだ、ということが大切なのです。
【次回へ続く】