(2) ブーム

 女子カーリングの盛り上がりについて問われたとき、、リザーブにまわっていた、チーム創設者の本橋選手が、
 
「いつものやつでしょ?」
 
 という感じに答えたそうです。
 
 ああ、本橋選手らしいなぁ、と思いました(笑)。
 
 トリノ、バンクーバー五輪を経験し、そのたびにブームになっては忘れられるカーリング競技を見てきた彼女らしいコメントですね。
 
 彼女自身、マスコミ嫌いというか、マスコット扱いされることを敬遠してた時期があったらしいですし。
 
 結成当初、チームが、バラエティ番組に出場依頼されたときも、断ったことがあったらしい。
 
 どういう「がんばり」が、本当のカーリング競技の活性化につながるか、一番分かっている選手の一人なんだと思うのです。
 
 実は我が家では、カーリングの中継があると必ず見ます。
 
 ほとんどは、BSでしかやっておらず、全日本選手権や世界選手権レベルにならないと中継がない年も多いのですが、うちのオカンが好きでよく見ています。
 
 たとえば、今回のLS北見がオリンピック出場権を獲得した日本代表決定戦、見てた人って、どれぐらいいたんでしょうね?(笑)。
 
 映画「シムソンズ」もGYAOで公開されていますが、この映画を公開当時に見たことある人たちって、どれぐらいいるんでしょうね?(ちなみに、僕は見てましたよ)
 
 韓国チームなんかは、携帯・スマホをコーチ陣に渡して外からの情報を絶っていたそうです。
 
 また、インタビューとかも、コーチ陣が受け、選手たちには極力させてなかったらしい。
 
 日本チームは、敗戦のあとも笑顔で、時には泣きながらインタビューに答えていて、偉いなぁ、って思いました。
 
 話したくないときもあっただろうに。
 
 特に、中国戦に敗れながらも、続くスウェーデン戦で勝利したあとのインタビューで、サードの吉田知選手が、
 
「負けたあとに何に励まされたかっていうと、私自身よりも、皆さんのほうがどういうふうにプレイしたら勝てるかっていうことを、(また)いいパフォーマンスができるかっていうこと分かってるみたいで(笑)。
 
 皆さんの声に励まされて、自分のパフォーマンスを取り戻したなって思います」
 
 と答えていたのには、すごく感心させられました。
 
 中国戦のあとの、ネットニュースのコメント欄には、それこそ「にわか」カーリングファン、「エセ」カーリング評論家たちが(笑)、こぞって日本チームの戦術についてウダウダとコメントしていたわけです。
 
 曰く、
 
「もっとサークルの中にストーンを貯めるような展開にしていかなければいけない」
 
 曰く、
 
「攻めるところと、守るところとの見極めがまだまだ甘い」
 
 曰く、
 
「後攻を10エンドにもっていけるような、長期的な戦略ができていないんじゃないか」
 
 などなど(笑)。
 
 カーリングの戦術について語ることのできる人間が、日本のどこに隠れていたんだ、っていうぐらいに(笑)。
 
 うちのオカンも、いうんですよ、中継を見ながら。
 
 同じようなこと。
 
 そう、うちのオカンと同レベルのことを、よくもまぁ、コメント欄に──衆人の目にさらされるところに書き込めるな、と(笑)。
 
 正直、そういうコメント、カチンとくると思うんですよね。
 
 選手からしたら。
 
 だって、日本のトッププレイヤーですよ?(笑)。
 
 さらに、世界を相手にメダル争いをしてるような選手ですよ?(笑)
 
 野球の大谷選手に、
 
「腕の振りを、こうしたほうが……」
 
 って言ってるようなもんなんだって、書いてる人たちは気づいてない(笑)。
 
 普通なら、イラッときて、そういうコメントに文句をいうか、それとも、完全に存在を無視するか、だと思うんです。
 
 普通なら。
 
 でも、それを「皆さんの声に励まされて」って言えるところがすごい。
 
 偉い。
 
 こういう子たちが世界で活躍できるのが、カーリングのいいところだなぁ、って思うし、そういう選手たちをチームに招き入れた本橋選手の選手を見る目ってすごいなぁ、って思う。
 
 いつもカーリング競技を中継で見ている身としては、もっと中継が増えて欲しいので、これがブームで終わらないことを願います。
 
【次回へ続く】