ただ、この腰の回転の調節で腕の振り出し角度を変えた場合、それにあわせて、プロネーションのタイミングをずらさなければなりません。
 
 まず、図を確認しましょう。
 
 「サーブでのラケット軌道」で使った画像をさらに加工したものです。
 
 手(グリップ)の動きを◇で表し、見やすいように、インパクトの前後5コマ分だけを書きました。
 
イメージ 1
 
 特に、赤→水色の切り替え地点が、インパクトの直前→瞬間にあたるのですが、フラットの軌道が、より前方に向かっているのが分かります。
 
 つまり、下の図のように腕は動いているわけです(左がフラット、右が回転系)
 
 
イメージ 2
 
 
 ただし、インパクトの瞬間、ラケット面はターゲット方向を向いていなければなりません。
 
「サーブの原理 その8」でお話したように、フォワードスウィングが開始されると、上半身のひねり戻しによる遠心力で、テイクバックの位置から振り上げられながら、ラケットが外側に大きく振り出されて回外が起こり、その伸張反射を利用して、回内運動(プロネーション)に連動させ、ラケット面をターゲット方向に向けていきます。
 
 このとき、同じようにターゲット方向にラケット面を向けたとしても、フラットと回転系では、腕の振り出し方向が違う分、必要なプロネーションの量が変わってくるのです(左がフラット、右が回転系)。
 
 
 
 
 
イメージ 3
 
 
 仮に、ラケットの振り出しで、ラケットトップが体軸の真後ろに向いた状態を0°、打ち終わってラケットトップが体軸の前方に投げ出された角度を180°だとすると、フラットの場合は、腕の振り出しそのものがターゲット方向に向かっているため、ラケットは70°~90°付近で打点を迎えることになります(上左図)。
 
 しかし、回転系の場合、振り出し角度が斜めになるため、ラケットトップが45°~60°ぐらいのときに、インパクトを迎えることになるはずなのです(上右図)。
 
 つまり、プロネーションの前半でインパクトを迎えることになるのです。
 
 スピンサーブやスライスサーブで、回転を意識しすぎると、プロネーションが中途半端になり、フォロースルーで、野球のカーブのように小指からいってしまう人が多いのはそのためです。
 
 特に、2ndとして打つ場合、スピードを抑えるためにはプロネーションの強さを調節するのが手っ取り早いですし、プロネーションそのものが、伸張反射を利用しているため、安定感を求めようとすると、無意識にプロネーションを緩めてしまう、ということなんだと思います。
 
 一番の理想は、1stと2ndとの力加減を変えないことです。
 
 そもそも体の傾きや腰の回転速度を調節するだけで、フラット系かスピン系も変わるのですから。
 
 1stが「スピード:スピン量=8:2」、とするところを、2ndでは「スピード:スピン量=5:5」とする、というようなイメージです。
 
 まあ、口で言うのは簡単です(笑)。
 
 実際には、1stである程度相手を崩せるようなサーブにしようと思うと、結構力を入れないといけません。
 
 が、力を入れると、人という生き物は自然と体の動きにばらつきが出てしまうもの。
 
 それと同じ力加減でスピン系の2ndを打っていると、スピンの分、入りやすくはなるかも知れませんが、やはりばらつきは出てしまい、確実に入れなければいけない2ndとしては危なっかしくて使えない。。
 
 かといって、2ndに合わせて1stの力加減を抑えると、1stでフラット系を打つ意味が半減してしまいます。
 
 1stで力加減を抑えても、速く安定したサーブが打てるのは、やはりプロや上級者なのです。
 
 2ndで本当に安定感が欲しい場合には、1stと同じ力加減でスピン量の多いトップスピンやスライスを打てるようになってから、体全体での力加減を少しずつ落としていき、100%安定的にスウィングできる力加減を見つけ出す、ということになるでしょうか。
 
 ただただ力加減を小さくしようとすると、伸張反射を抑えなければならなくなります。
 
 伸張反射を抑えようとすると、どうしても動き全体が小さくなって、フォームのバランスを崩してします。
 
「大きく、ゆったり」打つことを意識しながら、力加減を抑えるようにしましょう
 
 伸張反射による「タメ」が無くなった分、ゆったりフォームを再現することになるので、トスの高さも変える必要はありません。
 
 極端なことをいえば、2ndだからスピン量を増やす、という考え方も捨てます
 
 あくまでも、1stでスピン・スライスを打ったときより、ゆったり振る。
 
 したがって、スピン量は落ちている可能性は高いのですから。
 
 それでも、上半身の回転を抑えることで、前方向へのラケットの「振り出し」が遅くしてボールスピードを落としながら、ヒジを伸展させたラケットの「振り上げ」の速度はそれほど変えずに、ボールのスピン量は維持したまま、ということは可能です。
 
 ただし、中途半端に伸張反射が使えない分、随意運動に頼りますので、メンタルが弱い人は注意しましょう。
 
 回転数を増やす方向で2ndを考えると、力みやすくなりますからね。
 
 ぜひ、お試しください。