さて、シングルスの攻撃的な側面としての戦術を考えていきます。

 
 まずは「コート・エリア」シリーズでもご紹介した、エリアごとでの攻撃的な意識の使い分けです。
 
 そのうえで、コースやショットの種類を選ぶことになるのですが、僕は生徒に次のように優先順位を付けるように言っています。
 

1.エースを狙えるところ

2.エースとまでは言わないまでも、相手を充分崩し、ポイントにつながるところ

3.その1本でポイントにはつながらなくても、相手の返球が甘くなるようなところ

4.相手の返球が甘くなるわけではないが、少なくとも攻められることはないところ

5.必ず入るところ

 
 1がダメなら2,2がダメなら3、3がダメなら……という選択を、一瞬でするわけです。
 
 実際には、ショットの前に頭に浮かぶコース、ショットに、上の1~5の割り振りを行い、そのなかで一番番号が若いものを選ぶ、ということです。
 
 ですから、コースやショットは複数浮かんでも、番号は全て5、ということは充分あり得ます。
 
 さらに、1~4の場合、
 

a. オープンスペース

b. 相手の苦手なコース

c. 自分が打てるコース

 
 のどれが当てはまるのかはそのときそのときによって異なります。
 
 いくら大きなオープンスペースがあっても、相手のショットが厳しかったり、自分の体勢や技能では狙えない場合、5を選択するしかない、ということはよくある話ですからね。
 
 それよりは相手は待ち構えているけれど、「b.相手の苦手なコース」に打ち込めば、4.の状況にはできることがありますし。
 
 それを、
 
「相手のオープンスペースに打ち込んで、相手を積極的に振り回そう」
 
 というふうに頭でっかちに思ってしまうと、自分のほうからミスを重ねて自滅する、ということがよくあるのです。
 
 また、相手は前後の動きが苦手、ということが分かっても、自分にドロップショットが打てなければ、相手の弱点をつくこともできません。
 
 以前にもお話しましたが、極端にバックハンドに苦手意識のある選手にとっては、振り回されてでも、2回に1回フォアハンドで打てる方が楽、ということもあります。
 
 バックハンドに苦手意識がある選手の中には、しっかり意識してスウィングをするため、中ロブのようなショットしか打てないにもかかわらず、ミスらしいミスをほとんどしない、ということもよくあるのです。
 
【次回へ続く】