あるブログ読者の方(Aさんとしましょう)から、質問をいただきました。
 
 とあるサイトでの説明についてです。
 
 僕もよく拝見していて、参考にさせてもらっているサイトでもあります。
 
 そこでは(Aさんの言葉を借りると)、フォアハンドストロークでの運動連鎖の説明として、
 
「『腕だけまっすぐのばして振るよりも、(途中で)肘の関節を曲げたほうがラケットが加速する』という趣旨の発言」
 
 があり、また、
 
「左手で、スイング中の右肘を止めて『「こうしたほうが速い』という説明」
 
 があるとのこと。
 
 Aさんもメールでおっしゃっているのですが、実際のスウィングで、左手で右手のヒジを止めるようなことはしませんから(笑)、これはどういうことなのだろう、と。
 
 そこで、Aさんの質問としては、
 
1)動画の説明が正しいとして、左手で右肘を止める動作は実際のテニスでは何にあたるのか。
 
2)動画の説明に問題があるとすれば、どのような問題があるのか。
 
 の2点と言うことだそうです。
 
 で、さっそく僕も見てみたのですが、たしかにそのように説明されていました。
 
 これはですね。。。。。ビミョーです(笑)。
 
 伸張反射の話など、僕の理論と共通する視点もあるのです、ヒジの曲げとヒジの動きを止めること、というのは、実は連動しているようでしていないので……(笑)。
 
 これも順番に考察していくことにしましょう。
 

 
 まず、一番突っ込みやすいところから(笑)。
 
 まずそのサイトで説明されているコーチも、別のある質問者さんへの回答をしている、というふうになっています。
 
 で、その質問というのがどうも「ナダルのようなフォアハンドを打ちたい」ということらしいのです。
 
 が、この時点でダメですよね。
 
 なぜなら、ナダルのフォアハンドは「ストレートアーム」だからです(笑)。
 

 

 

 お分かりでしょうか?
 
 フォワードスウィングからインパクトに欠けて、全くヒジが曲がっていないのが(笑)。
 
 つまり、ナダルのように鋭いスウィングにするには、伸ばしている腕をスウィングの途中で止めるように曲げる、という説明そのものが、おかしいわけです。
 
 これは同じ「ストレートアーム」のフェデラーも同様です。
 
 
 これまで「ダブルベンド?ストレートアーム?」「厚く握るとトップスピン?」でもお話してきましたが、ストレートアームの場合、ラケットをカラダの前に振り出す原動力は主に肩と大胸筋の伸張反射です。
 
 回転半径が大きくなりやすいストレート・アームでは、慣性モーメントが大きいため加速がつけにくく、振り遅れないようにするためには、かなりのボディーターンの鋭さが必要になります。
 
 だからこそ僕はこれまでも、ナダルやフェデラーがやっているからと言って、ストレートアームは、素人が考え無しに取り入れられる技術じゃない、というお話をしてきたわけです。
 
 実際、ジョコビッチやシャラポワなど多くのプロはダブルベンドなわけですし。
 
 また、テイクバックの時に腕が伸びていて、インパクトに向けてヒジが曲がっていく選手の代表例はマレーです。
 
 ですから、ヒジを曲げることにはちゃんと意味があるはず。
 
 しかし、それは決して、左手で右肘を止めることでヒジから先が「走る」という単純なものでは決してありません。
 
 それは、次回お話しましょうね。
 
【次回へ続く】