試合前の待機が終わり、コートに入ったときに行うのが「広くて外的」な注意集中です。
 
 プロの試合などはかなり長い時間、試合前の練習があるのをよく見ますよね。
 
 高体連の団体戦などでは3分間のウォームアップの時間が与えられますが、多くのトーナメントではお互いのプレイヤーがサーブを各サイドで2本ずつ、計4本打って終わり、という短い時間しか与えられません。
 
 この短い時間で「広くて外的」な注意集中により、様々な情報を吸収するのです。
 
 風の向きや太陽の位置は、サーブに大きな影響を与えます。
 
 相手プレイヤーの調子が分かればなお良い。
 
 オムニコートなどだと、砂の量が会場によって違ったりしますし、ハードコートは意外と滑りやすいところがありますから、それも確認してください。
 
「その5」でも書いたのですが、このとき注意しなければならないのは2点。
 
 1つは外的な注意集中を向けることで、いわゆる「雑音」が入りやすくなることです。
 
 好きな女の子が視界に入ったり、家族が応援しているのを見たりすると、肩に力が入っちゃいますよね。
 
 チームメイトの必死な応援が力になる選手もいれば、プレッシャーになる選手もいる。
 
 これはもう「仕方がない」のです(笑)。
 
 これらの情報をシャットアウトできるほど強いメンタルの持ち主は、そもそもメンタルのことなんか考えなくて良い(笑)。
 
「気にしないでおこう」
 
 と思えば思うほど、そこに意識がいってしまうのが人間ですから。
 

 アマチュアプレイヤーにできるのは、そういう情報を無理矢理シャットアウトするのではなく、入ってきたときに、その情報だけにこだわることがないようにすること

 
 つまり「広い」注意集中を維持することです。
 
 いわゆる「それだけが気になってしまう」という状態だけは避けるのです。
 
 これを改善しようとして「別の何か」に集中しようとする人がいますが、それでは失敗します。
 
 あくまでも「広い注意集中」を維持することに専念し、頭の中で、
 
1.風の向き……北より微風
2.太陽の位置…北側のエンドだと、トスが見えなくなる可能性あり
3.オカンが見に来てる
4.コートの砂が多いので、ボールは弾みにくい
5.……
 
 というふうに情報の1つとして受け入れるクセをつけてください。
 
「別の何か」を1つに絞らず「広い注意集中」によって「量」で覆い隠すわけですね(笑)。
 
 これが意外と上手くいきますので、ぜひお試しください。
 
【次回へ続く】