注意集中の続きです。
 

3.ウォームアップ終了時。ベースラインへの移動時

 ウォームアップが終わったり、ベンチからベースラインへの移動のごくわずかな時間、このときにも注意集中を切り替えます。
 
 注意集中のタイプは「狭く内的」なものです。
 
 ウォームアップでの調子や相手の情報から導き出される1~2個の注意点についてのみ、注意集中を向けます。
 
「まずはサーブを入れていこう(ファーストは思いっきり行こう)」
 
「相手のバック側にボールを集めよう」
 
 など、膨大なゲームプランやフォームのチェック項目の中から最重点事項のみに注意集中を向けるのです。
 
 僕なんかは、ストロークのときの首の付け根とヒジの動きだけに注意集中を向けることが多くなります。
 
 この「狭くて内的」な注意集中は、調子が良いときには適当になってしまいがちです。
 
 調子が良いときは「自分との対話」をしなくても上手くいってしまい、その必要性がないからです。
 
 しかし、必ず行ってください。
 
 調子が良いときはやらずに、調子が悪くなると考え始める、というをやっているとまずもって効果が薄くなりますし、なにより「分析麻痺」と呼ばれる状態に陥りやすくなります(詳細は後述)。
 
 ベンチからベースラインに向かう間や、ウォームアップからゲームスタートまでのごくわずかな時間で行いますので、決断力を持って、注意集中を限定しましょう。
 

4.サーブ、リターンの直前

 サーブのルーティーンに入る直前、またはリターンのために定位置に付く瞬間、注意集中をもう一度「広く外的」なものに向けます
 
 これが実に大切です。
 
 この「広くて外的」な注意集中を、次への「クッション」として行わないと、どうしても注意集中が内的なものにとどまってしまいます。
 

5.インプレー中

 いざ、自分や相手がサーブのモーションに入ったら、もう「狭くて外的」な注意集中です。
 
 ただ、これも1つ注意点が。
 
 相手がショットを打ってから自分がショットを打つまでは「ボール」という1つのことに注意集中をすることは簡単にできるのですが、自分がショットを打ってから相手が打つまでの間は「相手の動き」に注意集中を向けなければなりません。
 
「狭くて外的」であることには変わりないのですが、その対象が変わるのです。
 
 初級者はこれができない。
 
 自分が打ったボールを目で追いかけてしまいます。
 
 3.の「狭くて内的」な注意集中から抜け出せないまま──つまり、頭の中で考えながらプレイが自動化できないことも多くあります。
 
 4.の「広くて外的」な注意集中を「クッション」として挟み、そこから焦点を絞り込むようなイメージでボールに注意集中を向けていくと良いと思います。
 
 視野がすーっと狭まるイメージです。
 
 このときに必要な視線のコントロール方法については、後日、ご説明したいと思います。
 
【次回へ続く】