そして、もう一つ、都会と田舎の大きな違いは、そういう矛盾だらけの労働環境を改善するための原動力となるはずの「労働組合」への取り組み方です。
これも、ニュースやネットでの取り上げられ方に、非常に強い違和感を持ってしまうんです。
学力低下や教員の指導力不足の原因が、教員の組合活動にあるかのような意見がネットには氾濫していますが、これは完全な間違いです。
全国学力テストで、毎回上位に食い込んでいる田舎の県の労働組合加入率は、たぶん驚くほどに高い。
実は、田舎の教員の労働組合への加入率は9割を超えます。
現に僕も組合に入っていますから。
そこがまず、都会とは違う。
よく、教員の組合活動が「一部の教員の暴走」のように報道されることがありますが、あれはもう本当に都会だけの話です。
それが、現状なんです。
つまり、今の子供たちの学力低下や教員の能力低下は、全くもって労働組合のせいではありません。
少なくとも、田舎では。
特に大阪などは橋下市長の言動もあって、常に取り上げられますが。。。そのせいで、組合活動自体が「悪の根源」みたいに言われるのは、田舎の教員たちからしてみると、非常に迷惑な話なわけです。
労働組合そのものは、国民に認められた権利の結集ですから、それ自体はなんら問題はない。
問題なのは、その運営の仕方や組合活動の利用の仕方だと思うんです。
たとえば、夜遅くまで部活動や生徒指導をしても、教員には残業代は出ません。
それは「教員特別手当」と呼ばれる手当が出ているからです。
しかし、その額は、1ヶ月5000円~6000円。
20日間の実働があったとして、1日300円にもならないわけですね。
しかも、夜遅くまで仕事をしている人でもしていない人でも同じ額ですし、何時間やろうとも同じ額なんです。
これが、田舎ではどうしているかというと、みんな、それでもガマンして、もちろん不平・不満タラタラで(笑)、だからこそ、労働組合を通して、
「賃金体系の改善をしてくれ!」
とか、
「仕事の量が減るように、教員数を増やしてくれ!」
って要求するわけです。
つまり、とりあえずは(不満タラタラでも)やってみた上で、その「齟齬」や「矛盾」の改善を訴える、という感じ。
それが、一部の都会の組合では違うわけです。
そういう「齟齬」がある仕事に関しては、
「そんな違法な命令には従う義務は、我々にはない!」
ってなっちゃう。
でもそんなことをしてたら、学校は廻らなくなるから、組合員は自然と数も少ない。
数も少ないから声の「量」ではなくて、「大きさ」で勝負せざるをえなくなる。
しかしそうなると、
「今時の教員は、仕事もせずに権利だけを振りかざす」
って感じで、マスコミの反感を買い、痛くもない腹まで探られることになってしまうわけです。
都会の教員だけの意見かもしれないのに。
それが、法的にも不備だらけで、決して理想的ではない「部活指導」への取り組み方、批判の仕方にも、都会と田舎の違いを生む大きな原因にもなっていると思います。
【次回へ続く】