まず最初に整理しておかなければなりません。
 
 それは部活動に対する教員の考え方には大きく分けて4つのパターンがある、ということです。
 
 

① 部活動推進派

 
 現状にそれほどの矛盾は感じていない、または少なくとも不満は持っておらず、一部には今のシステムを変えないほうが良い、とも思っているタイプ。
 
 待遇的に恵まれている私立校の先生や部活動の実績こそを第一義としている先生にはこういう人が多くいます。
 
 

② 部活動擁護派

 
 教育的な意味も含めて、高校部活動の意義を信じているが、現状のシステムそのものには不満もあり、改善すべきと思っている。
 
 多くの先生はこれです。
 
 もちろん、僕も。
 
 ただ、政治力の無い教員にはシステムを変える力が無く、かといって政治力を持とうとすると叩かれるのでめんどくさいだけ(笑)。
 
 

③ 部活動消極派

 
 現状への不満から、部活動指導をすることは「損」、または「面倒くさい」と思っている。
 
 ただ、教育活動の一環としての部活動自体には意義を見いだしていて、現状が改善されればやぶさかでない。
 

④ 部活動廃止派

 現状のシステムを変更できない以上、高校部活動というシステムそのものを廃止すべき、と思っている。
 
 教員は最低限の教科指導に専念すべきで、部活動を担当することで、教科指導や学級指導がおろそかになっている、と考えている。
 

 
 と、こんな感じでしょうか。
 
 もちろん、それぞれのさらに中間的な人もいますけれども。
 
 最近、ブログや知恵袋などのネットで紹介されている「部活動」に関する記事や意見を見ていて思うのは、両極端な ①推進派 や ④廃止派 ばかりが目に付くことです。
 
 もちろん、一般の方々の意見もそうなのですが、同業者である教員自身にも多い。
 
 おそらく、①推進派 のような教員こそが、全国に出場するチームを育てられるような監督に多いのでしょうし、と同時にこれまで体罰などが問題になった教員の多くも ①推進派 のようなタイプだったかと思います。
 
 一方、④廃止派 の教員には「スピーカー」タイプが多い(笑)。
 
 つまり、ブログや知恵袋に自説(部活動指導への不平+廃止論)を並べたて、あたかも部活動指導が、全国の「良識ある教員」の人権侵害になっているかのように理論を組み立てる人たちは、たいていこの ④廃止派 タイプだと思います。
 
 ただ、このブログを見ていただいている方々には分かって欲しくて書くのですが、多くの教員は② 擁護派 であり、③ 消極派 の人もいるけれど、それでも生徒のために、現在のこの矛盾だらけの労働状況にも歯を食いしばっている、ということです。
 
 あ、でもこの「生徒のため」という言葉も気をつけて使わなければなりません。
 
 ④廃止派 の人たちにしてみると、
 
「そういう『生徒のため』という隷属的なボランティア精神を簡単に口にするから、教員のプライベートが侵害され、労働環境が改善されないんだ」
 
 となるからです。
 
 いや、気持ちは分かる。気持ちは分かるんです。
 
 でも、でもね?
 
「お客様のため」って頑張っている会社員がいるとして、
 
「自分のプライベートを犠牲にしてまで『お客様のために』働く必要なんてない」
 
 って、少なくとも堂々とネットで書かないでしょ?(笑)。
 
 あ、逆もあるんですよ。
 
「『生徒のために』自分を犠牲にすることなんか、教師として当たり前だ」
 
 っていう考え方。
 
 これもまた、違うんだなぁ。
 
 それはそれで、
 
「お客様のためなら、ただで働き、家族のことは犠牲にしろ」
 
 って、これもまた、ネットに堂々とは書かないでしょ?(笑)。
 
 いや、サービス残業とかをやっている人たちがいっぱいいることも承知の上で、それでも、って話。
 
 みんな、バランスが悪すぎる。
 
【次回へ続く】