僕のサーブで言えば、フラットのときには、図33のように、ラケット面が外側を向きますが、
トップスピンやスライスのフォロースルーでは、ラケット自体はフラットより外側に振り出される代わりに、「回内+内旋」による腕のひねりが弱くなります(図34)
「サーブでのラケットの軌道」シリーズでもお話ししたことがあるのですが、まずスライスサーブは、球種がバレないようにフラットとほぼ打点を同じにして打っているので、ラケットの振り出し方向と手首の角度だけを変化させています。
だから、フォロースルーでのラケットが振り出される方向が変わるのは当たり前ですね。
またフラットサーブは、ラケットの軌道の「頂点」でインパクトを迎えますが、スライスサーブは、回転をかけるためにインパクトの後さらにラケットが「抜ける」必要があるので、決してラケットが「頂点」で当たっているわけではありません。
一方トップスピンサーブは、打つことそのものがバレてもOKで、回転量の変化で勝負、というつもりで打っています。
なので、体軸を傾けてラケットの振り出し方向を変え、スライスサーブと同じ腕の動き(振り)によって打ち出します。
ですのでこれも、ラケットの軌道の「途中」でインパクトを迎えている感覚です。
そんな中でボールスピードを維持し、回転力をあげるためには、強い「回内+内旋」が必要で、そのためにフォロースルーでの「回外+外旋」の「伸張反射」がフラットの時よりも強く起こることが多いため、フォロースルーではかえって、図33ほどには「回内+内旋」をしていないように見えてしまうことが多いんです。
「回内?内旋?内転?」シリーズでもお話ししましたが、フラットサーブのときには、適度な強さの「回内+内旋」が起こっているので、フォロースルーでもそのまま「回内+内旋」が続き、スムーズな「回内+内旋」を維持しようと、無意識にヒジが曲がっていくことになります。
逆に、「回内+内旋」が強く行うスピンサーブやスライスサーブ、ボールとの衝突による減速がない空振りをしたときなどは、「回外+外旋」による「伸張反射」が強く起こってしまい、ヒジが引きつけられる感覚が強いため、かえってヒジがあまり曲がらなかったりするんです。
何度も言いますが、回内+内旋は、ラケットスピードを上げるために必須の運動ではありますが、だからこそフォワードスウィング~インパクトにかけてしっかりとできていれば、フォロースルーはどうでもいい。
選手に対して、フォロースルーの形を意識させることでインパクトの形を整える、というコーチング技術はもちろんありますが、コーチ自体がそれにおぼれていては全く本末転倒です。
そういうコーチはフォロースルーさえキレイであれば、インパクトはどうでもいい、と言っているのと同じですからね(笑)。
スウィングは総合的に検証する、という大前提を忘れないようにしましょう。
そして、その総合的に検証する、というのはかなり難しい。
それを見抜くにはやはりある程度の「経験」が必要になります。
ですので、一般の高校生やウィークエンドプレイヤーの皆さんは、ぜひ自分のフォームをビデオなどで「客観的に」確認してください。
決して、自分の「感覚」だけでやってはいけない。
しかも「総合的」に検証するには、横・後ろ・前からそれぞれ撮影しなければいけません。
カメラのアングルによって、腕の角度なんかどうにでも映ってしまうからです。
そして何回も撮影をしましょう。
成功したサーブも、失敗したサーブもすべて撮影することが大切。
テニス仲間と相談しながら、楽しく撮影会をやってみましょう。
【次回へ続く】