テニスにも「スタッツ」と呼ばれるものはあります。
テレビ中継でも、ゲーム間やセット間などによく紹介されるようになりました。
ただし、あくまでも「観戦用」のものでしかありません。
まず、「サーブの確率」はよく見かけますよね。
1st、2ndそれぞれ何%で入ったのか、そのうちエースは何%か、さらには1stサーブが入ったときのポイント獲得率は何%か、など。
そのなかでも最近よく解説で取り上げられるのは、1stサーブが入ったときのポイント獲得率、です。
しかし、たとえば1stからしっかり入れていく──つまりサーブで攻めるタイプでない選手でも、相手選手よりもストロークが上手いためにしっかりとポイントが取れているとき、1stサーブが入ったときのポイント獲得率は高くなりやすい。
つまり、ポイントの獲得におけるサーブの「寄与度」は低いにも関わらず、数値だけは高くなってしまうわけです。
特に、アマチュアでこれを鵜呑みにしてしまったりすると、
「やっぱりテニスは、サーブこそが命なんだ」
と勘違いしてしまう。
サーブが命なのは、一定以上のサーブ力がある選手だけ。
そして、アマチュアの場合には、一定以下のサーブであっても十分勝てる方法はたくさんあるわけで、そういう勘違いをさせないためにも、データの表示の仕方はすごく大切になる。
次にアンフォースドエラー。
これは僕もデータをとって選手に示すときがありますが、これほど怪しいものはない(笑)。
だって、何を持って「アンフォースドな」──つまり強いられたものではない、勝手にやってしまったミス、と判断するのかは、査定者にゆだねられてしまっているからです。
もちろん、あきらかなアンフォースド・エラーはあるんですが、当確線上ギリギリっていうプレイは山ほどあります。
つまり査定者が同じであったり、統一的な見解を共有していないと、大会全体や、ましてや年間を通して比較できるような客観的データでは、全くないんです。
ですから、選手の戦力分析を本格的にしようとするにはちょっと違う、ということになります。
iPadなどでのアプリで、テニスのデータをリアルタイムに入力できるものもあり、ダウンロードして使ったこともあるんですが、僕にはどうももの足りません。
同じバックハンドのアウトでも、クロスに打ってのアウトなのか、ストレートのダウンザラインを狙ってのアウトなのかでは全然違う。
ロブを打ってアウトなのと、パッシングを打ってアウトなのでは違いますし。
サイドアウトなのかオーバーアウトなのかでも全く違います。
サーブだって、フラットでセンターを狙った上でのフォルトと、クロスにスライスを打ってフォルトになったのでは全く違う。
ストロークも、ランニングショットでミスることは、ポジショニングや反応速度、脚力の問題ですが、十分間に合っているのにミスるのは、ただただ技術的なものか、メンタル的なものですからね。
テニスは、個人競技であるくせにコートが異常に広く、さらにプレー内容も複雑すぎて、求めるデータに欲を出したら切りがなくなる。
かといって、そういうデータでないのなら、そんな数値だけを並べても意味がない、って言う感じでしょうか。
バスケットのシュート確率ファイルを応用して、そういうものが作れないかいろいろと試しているんですが、難しい。
誰か、作ってください!
もちろんタダで!