今日のおすすめは、
「つながる心」 ひとりじゃない、チームだから戦えた
27人のトビウオジャパン
集英社 です。
かなり以前に買ったんですが(笑)。
ロンドンオリンピックに出場した「トビウオジャパン」のメンバーが、それぞれの「思い」を文章にしてまとめた本です。
キャプテンでもあった松田丈志選手(100・200mバタフライ、メドレーリレーに出場、メドレーリレーでは銀メダル)を始めとしたメダリストだけでなく、残念ながらメダルを獲得できなかった選手たちの言葉も読めるところが良かった。
それぞれの選手のうれしさだけでなく、悔しさや、ちょっとした愚痴や不満も聞けて(笑)。
選手の生の声ですから、変に美談化されていないのがいい。
その題名どおり、27人の「トビウオ」たちが、どれだけつながっていたのか、そしてそのつながりがどれだけ彼ら彼女らの力へと変わっていったのかがよく分かります。
かつて、シドニーオリンピックの選考において、千葉すず選手が標準記録をクリアして優勝していたにも関わらず、代表選考から外れ、仲裁問題に発展したことがありました。
もちろん、選考過程が曖昧であった水泳連盟に絶対的な責任があったとは思います。
ただ、当時の水泳連盟会長であった古橋廣之進さんが、
「水泳は団体競技だ」
という趣旨の発言をしたことで、千葉すず選手の個人的な性格やアトランタオリンピックでの舌禍問題もあいまって、波紋を広げることになりました。
実際、当時のマスコミには、人気選手であった千葉すず選手の肩を持ち、
「個人競技を『団体戦』などと言っているから、メダルが取れないんだ」
という論調を展開していたところがありますし、そう言っているスポーツ解説者も多くいました。
僕は、よーーーく覚えてます(笑)。
それが、アテネ、北京、ロンドンと『団体戦』として戦った水泳競技は、メダルを量産している現実。
当時、批判を繰り返してマスコミは、掌を返したように、大絶賛(笑)。
当時と全く逆のことを言っているキャスターの言うことは、今後信じないことにしています(笑)。
中を読むと、古橋廣之進さんがなぜ「団体競技」として水泳を考えていたのかが垣間見えるエピソードもあり、大変興味深いものでした。
こういう、スポーツライターを通していない本っていうのもいいですね。
客観性や全体像を把握するには物足りないですが、選手の生の声、というのが面白い。
特に、内容がロンドンオリンピックに絞って書かれているのが、読みやすかった原因かも知れません。
これは非常におすすめの本です。