全24回にわたってご紹介してきました「前期の基本的な動き」、いかがでしたでしょうか?
以前、Yahoo!知恵袋に、次のような質問がされたことがあります。
「僕はある大会が終わった後、自分と相方のサービスゲームキープ率を計算してみたら、僕は80%で相方は38%ぐらいでした。
やはりその大会では相方のサービスゲームがほとんどブレイクされて負けてしまいました。
これはやはり相方のサーブ力とストローク力などがない事が露呈している証拠なのでしょうか?」
これを読んだ瞬間、僕は、
「あ~ぁ、この人やっちゃったな。。。」
って思ったのですが(笑)、まあ、質問を消すこともできないので、そのまま放置。
案の定、質問者の方の考えを否定する回答が次々とされてしまいました。
いくつかパターンはあったのですが、概要は次の通り。
1.ダブルスは、前衛によってゲームが決定することが多い。
2.したがって、パートナーがサーバーになったときに、前衛をしている質問者が、ポイントを決められないとも言える。
3.つまり、相方のサーブ力やストローク力のせいにするべきじゃない。
しごく、もっともな意見です。
僕もそう思います。
びっくりすることに、投票によって選ばれたベストアンサーは、質問者寄りの回答者に送られるという珍事が起こっておりますが(笑)。
他の意見が、どれも良かったので、投票が分かれたのでしょうね。
プロじゃあるまいし、サーブキープ率だけから、後衛のサーブ力とストローク力が劣っているとか、そんなとんでもない考えを持っているようでは、ダブルスの戦術が全く分かっていない証拠ですから。
質問者さんも、ベストアンサーの回答者さんも、本格的なダブルスをやったことがないのでしょうが、ダブルスは、後衛と前衛の役割分担がしっかりとしているペアこそが勝てます。
うちのチームでは、後衛に対しては、
「ストロークは絶対にミスってはいけない。
もちろん、サイドが空いているときとか、相手ショットが短くて、アタック・エリアで打てるときならどんどん狙えばいい。
でも、それ以外のときには、絶対にラリーを続けて、前衛の攻撃を待て」
と言っています。
一方で、前衛には、
「後衛がラリーを続けている間に、自分からどんどんとしかけて、ポイントを狙え」
と言っています。
そして、後衛がラリーをしている間、ただただトライアングルの動きだけを繰り返すだけで、前フリも、フェイクもなく、ましてやポーチにも出ない前衛は、ことごとく注意します。
さらに、前衛が手をこまねいている間に後衛がミスをしたときには、
「あーあ、後衛を見殺しにしたんだぞ」
と言って反省を促します。
それぐらい、前衛の働きが大事なんです。
ただのストローク合戦に見える状況でさえ、前衛のポジショニングや動きによって後衛がプレッシャーを感じて、ミスを誘発されている場合もあるわけです。
先の質問者さんの場合、相方のほうが圧倒的に上手く、質問者さんの前衛が全く仕事をしていないだけ、という可能性のほうが、文章を読むだけだと高いと思うのです。
キープ率などというのは、相手を崩したり、エースを取れるようなサーブを持っている、中・上級者以上でこそ意味があるデータで、初・中級者でははっきりいって、意味がない。
きれいなリターンを返された瞬間に、それでもう、イーブンになっちゃうんですから。
テレビのテニス中継などで、細かいスタッツ(成績データ)が表示されるようになったことによる、弊害の1つが、これだと思います。
データをもてあそぶ、というか、数字に振り回される、というか。
データというのは、データを計算することそのものが大事なのではなくて、そのデータをどう分析し、どう解釈するかに全力を集中しなければなりません。
真の原因を探る、という作業です。
そういうのを、小・中・高校の理科で習っているはずです(笑)。
今後も、ダブルスの戦術をご紹介していきますが、それを実践していただいたとき、どこがうまくいって、どこがうまくいかないのかを、客観的なデータをもとに、しっかりと把握してください。
何がミスの原因だったのかを、データから導き出さないと行けない。
キープ率が低い=サーブが弱い、なんていう単純なデータ分析からは卒業しましょう。