試合に負け始めたり、ミスを繰り返すと、表情が暗くなったり、「怒り」の感情を表情に出してしまう選手がいます。
プレイヤーとしては、最悪です。
だって、勝つことには全く意味がない行動だから。
ミスを繰り返すことはしょうがない。
下手なんだから(笑)。
でも、それについて、勝手に自分に腹を立てるのは、選手としてフォアハンドが打てないよりもたちが悪い。
本当に試合に勝ちたいなら、「試合に勝つために必要なことだけ」をしなければいけない。
表情を暗くしたり、怒りを表に出したりすることで勝てるんならすればいいけれど、そんなことは全くないわけですからね(笑)。
心理学的に言えば、そういう「無駄」なことをするのは、「人の目」を気にしている証拠でしかありません。
しかも一番やっかいなのは、その「人の目」を気にしている事実を、本人自身が全く意識できていないことです。
おそらく、そういう選手を見つけたときに、本人に、
「人の目を気にして、自分に腹を立ててるのを、表情に出してるんでしょ?」
って聞いても、完全に否定をするでしょう(笑)。
でも、ミスを繰り返している「自分への怒り」を表情に出すのは、実は他者へのアピールなんです。
「ほら、見ても分かるとおり、自分は、自分に腹を立てている。ちゃんと、自分が悪いって分かってる。だから、他人にあれこれ言われるのはゴメンだ。自分は、自分を責めてるんだから。他人にまで攻められたくない。ミスを指摘するな。ミスを指摘されて直せるぐらいなら、ミスなんかしない。自分で自分のことを一番分かってるんだから」
という心理作用です。
だから、僕は、そういう選手は無視をします。
見ていない、ということにする。
もちろん、じっくり観察しているんですが(笑)。
こういう選手は、もう、自分で気付くしかない。
自分のミスを自分で責めたって、それが勝利には全くつながらないんだ、ってことを。
そのミスが直せないことこそが、自分のことを自分がもっとも分かっていない証拠なんだ、ってことを。
ミスを他人に指摘されることと、負けるとこと、どっちが自分にとってイヤなことなのか、ってことを。
結局は、自分の安っぽいプライドを守るために、負けた理由を「調子が悪かった」っていうことにしたいだけなんだ、ってことを。
それを自分で気付ける選手こそが、強くなる。
だからこそ、僕はじっと待つしかありません。
他人が教えても、一時しのぎでしかないから。
それは「教育」ではないから、です。
ただ単に勝つだけなら、ただ単に自分の指導力を発揮したいだけなら、いくらでも怒鳴りつけますが、それでは全く意味がない。
自分で気付くのをじーーーーーーっと待ちます。
もちろん、気付かないまま終わる選手も多いんですが。。。
コーチングって難しいですなぁ。