5.前フリ その3

 
 もう一つは、
 
(1) 相手のバック側にショットを打つ。
 
(2) 相手がこちらのバック側にクロスに返してきたら、フォアに回り込んでストレートに打ち込む。
 
(3) (1)、(2)を繰り返すと、同じパターンになったときに、相手が慌ててセンター方向に戻ろうとするのを確認したら、相手の左手前に逆を突くようにドロップショットを打つ。
 
 これも、大事なのは(2)をどれだけ印象的にできるかです。
 
「回り込んだらストレートに打ってくるサインだ」
 
 と相手に思わせないといけません。
 
 (2)の「フォアに回り込んで」というのは、僕がバックのドロップショットが得意ではないから。
 
 バックのドロップショットが得意な方は、前フリがバックハンドになってもぜんぜんかまいません。
 
 ただ、僕の場合は、このドロップショット自体を「前フリ」にして、ストレート方向へのショットを狙っていることのほうが多くありました。
 
 それは僕が「フォアハンドの逆クロス・ショット」が好きだからです。
 
 こちらのバック側にボールが来たときに、フォアハンドに回り込み、
 
① 相手バック側(逆クロス)に深くフラット系を打ち込む。
② 相手バック側(逆クロス)に強いトップスピンをかけてショートクロスをアングルに入れる。
③ ときおり、同じ方向にドロップショットを決める。
 
 相手は自分のバックサイド側でこれだけの攻撃を受ければ、いやでもバック側に意識が向いてくれます。
 
 で、動きに偏りが出たころを見計らって、オープンスペースにストレートを打ち込むんです。
 
 僕としては、こちらの方が楽。
 
 もともとバックサイド側にいる相手が、あわててセンター方向に戻るように仕向けるよりは簡単。
 
 相手を誘導して狙った行動を取らせるよりも、迷わせて足を止める方が手っ取り早いですからね。
 

 
 ドロップショット自体は、相手の左前にしか打てなくても、こういう前フリを行うことでいろいろとバリエーションが増えていく。
 
 逆に、相手の特定のショットで苦しんでいるときも、同じ事が言えます。
 
 1つのショットをどんな場面でもコートのどこにでも打てるプレイヤーはなかなかいません。
 
 ただパターンを組み合わせ、タイミングを計ることで「多彩に見せている」だけ。
 
 逆にそれを読み取ることができれば、誰も返せないような「スーパーショット」を打つ込む選手は、県内にそうそういるものではありませんから、なんとかなります。
 
 常に冷静に、パターンを分析できるようにしておきましょう。