3.前フリ その1
ドロップショットは自分がいくら体勢が整っているからといって、いつでも打てるショットではありません。
相手の状況を見て判断することが必須条件。
ただ、相手の状況をただただ待っていても面白くありませんから、少なくと心理的に相手をコントロールする準備はしておかなければなりません。
それが「前フリ」です。
まず、こちらが、
「アプローチ・エリアからは、アグレッシブなショットをバンバン打つプレイヤーなんだ」
というイメージを相手に植え付ける必要があります。
ドロップショットを武器として持っていることそのものがばれるのはかまいません。
だから、隠す必要はありません。
ただ、
「普段は深くて速いストロークを打ってくるから、ドロップショットばかりを警戒してる場合じゃないな」
と思わせれば十分です。
相手に、ドロップショットを「捨ててもらう」。
僕が高校時代そうだったように、全くの秘密兵器にして、相手が無警戒になるのを待つ必要は本来はないんです。
無警戒の状態で決まるのは、最初の1本しかないんですから。
警戒はしているけれど、対策は取っていない、という状態であれば十分ですし、どうしようか迷っていればなお良い。
ですから、ドロップショットの「割合」は非常に大事になります。
僕は、成功・失敗をあわせても、2ゲーム中1本ぐらいあれば多い方です。
それ以上だと警戒され、僕のドロップショットの精度では返されてしまう可能性が高くなってしまう。
戦略として、ドロップショットを何本か続けて、相手が慣れて、前方に意識が向き始めたときに再びストローク中心に戻して相手を混乱させる、というときもありますが、これはドロップショットがすべてきれいに決まったときにだけ有効です。
何本か失敗した後に、ストロークに戻すと、
「あ、ドロップショット、うまくいかないからあきらめたな」
と思われる。
これが、またドロップショットの「無警戒」につながってくれればいいですが、たいていは心理的に相手が優位に立つだけで終わります。
こっちのドロップショットの精度が上がるわけではないですからね(笑)。
ですので、僕はあくまでも奇をてらわずシンプルに、
「忘れた頃に打つ」
というのをやっています。
【次回へ続く】