僕も、高校時代から自分なりの「武器」がありました。
1.サーブ
スピードと回転には自信がありました。
が、いかんせん入らない(笑)。
そんなものは武器とは言わない、と怒られそうですが、それは僕もそう思います(笑)。
しかし、そう思えるようになったのは大人になり、テニス部の顧問をするようになってからで、当時は、これこそが僕の最大の武器だと思っていました。
少なくとも、エースを取る確率は圧倒的に高いんですから。
ダブルフォルトの確率も高かったけど(笑)。
ボリス・ベッカーのサーブにあこがれ、日本人でありながらビッグサーバーとしてならした松岡修造選手の動きを取り入れ、最終的にはイワン・レンドルのサーブが最高だと真似しました。
結局、真似しきれませんでしたけど(笑)。
ただ、いろんなプロ選手の動きを研究したのが、今の僕につながっていると思います。
2.フォアの逆クロスへのライジングショット
これはもう、完全に、イワン・レンドルの影響です。
バック側に来たショットに対し、フォアに大きく回り込んでからの逆クロス。
しかもライジングショットを狙えれば、かなり有効です。
相手が、バック側に手を伸ばしながら追いかけてそれでも届かなかったときの、あの快感。
あれは最高です。
ただ、追いついた相手がバックでダウンザラインを決めてきたときの、あの茫然自失も忘れ難い恥ずかしさはありますが(笑)。
これは、サーブとは違い、練習次第で簡単に習得できますので、(有効かどうかは別にして)部活動でも生徒に教えています。
3.ドロップショット
実は、これは高校時代のチームメイトにはずっと内緒にしていた武器でした。
当時のチームメイトでも、僕がドロップショットを打っている印象が残っていることはおそらくないと思います。
これは、僕にとっての秘密兵器、にしていたんです。
理由は、部内戦で勝つため。
自分の武器にドロップショットがあるとわかれば、足の速いチームメイトは警戒していればすぐにカバーできてしまう。
だから、「いざというとき」のためにひた隠しにしていました。
それでも、もちろん練習をしなければうまくならない。
ですから、そのときは完全な「ミスショット」を演出(笑)。
恥を惜しんで、最高のドロップショットを、ミスショットとして謝っていた。
それはもう、最高の演技で。
ね、性格の悪さが、にじみ出てるでしょ?(笑)
でも、それほどに必死でした。
今では、生徒とのラリーで多用しています。
高校女子でドロップショットを多用してくる選手はなかなかいませんが、ただ、ミスショットやびびってしまった結果、短くなることはよくある。
そのための練習ですが、面白いように決まるので、気持ちいい反面、それを取れないうちの選手が心配にもなってしまうという(笑)。
マンガの「YAWARA」のなかで、主人公の猪熊柔のおじいちゃん、猪熊滋五郎の台詞に、こういうのがあります。
「徹底的にマークされて投げられんような技なんぞ、得意技でもなんでもないわい。そんなもんお気に入りの技とでも言っておけ。本当の得意技というものはな、相手がどうこらえようともぶん投げる技ぢゃ」
ここらへんを分かっていない選手は非常に多い。
僕が顧問をした選手でも何人かいました。
そういうときは、僕は、その鼻をへし折ります(笑)。
その生徒の得意なショット──ストロークやサーブなどを徹底的にカウンターで返す。
生徒の「得意な」ショットが、ただの「お気に入りの」ショットでしかないことを、気づかせるためです。
それに早く気づいてくれた生徒は、ただの「お気に入り」を、本当の意味で「得意」にする努力をしてくれます。
ただ、そう考えると、僕の「武器」も「お気に入り」でしかないことが分かってしまうわけで。。。
本当の「武器」が欲しいなぁ。