この質問への追加コメントをされている方のホームページを見ると、スウィング・ウェイトの比較の仕方が掲載されています。
 
 それによると、グリップ部分はなにか台の上に乗せたうえで、ラケットトップ側の重さを量り、同様に2本を比べるとスウィングウェイトの違いが分かる、みたいなことや、「ラケット先端の重さを表す数値」などと書かれている。
 
 前回の図を見ても分かるとおり、ラケット(棒)の端どうしの重さに「差」がなくても、スウィングウェイトというものは、全く変わってくるので、そんな調べ方で、何百本比べようと、意味がないんです(笑)。
 
 実験方法自体が間違っているのに、「同じだ!」って胸を張られても、っていう(笑)。
 
 理科の教員からしてみたら、片腹痛い
 
 実際、この追加コメントをされている方は、別の質問で、
 
「ラケットのバランスを変えずに、重さを少し重くしたいんだけどどうしたらいいでしょう」
 
 と訊かれて、
 
「バランスの中央に(重りを)貼ればいい」
 
 というとんでもない回答をされていた方なので、たぶん、根本的に「円運動」とか「慣性モーメント」とかを理解されていないんだと思います。
 
 本当なら、
 
「バランスを同じにすることと、振ったときの感覚が同じなのとは、同等ではないですよ?それでもいいですか?」
 
 と言ってあげないといけないのに。
 
 これも最近見つけたもので、修正のしようもない(笑)。
 

 
 ただ、今言ったように、この「スウィング・ウェイト」というものは、ラケットの重さや長さ、バランスが同じでも、ラケットの形状や構造などで大きく変わってしまうわけで、簡単に計算で求められるものではありません。
 
 実は、スウィングウェイトを計測できる機械、というのがちゃんとあります。
 
 厳密には、そういうのを使わないと計測が難しい。
 
 ただこれも、そのラケットのスウィング、つまり回転の中心軸というか支点をどこに置くかで全く数値は変わります。
 
 ラケットを小さく振るときと、大きく振るときでは、感じる重さが違うでしょ?それと同じ。
 
 だから、機械で計る数値でさえ、あくまでも「計測結果」でしかなく、同一条件での計測値ならば比較対象になりますが、本や雑誌、メーカーなどで計測基準が違う可能性のある場合には、注意が必要です。
 
 だから、「通常は考慮に入れない」んです。
 
 決して、重量とバランスで代用できるからなどではない
 
 ましてや、重要ではない、マイナーなスペックだからなどでは全くありません。
 
 そんなこと言ってたら、ラケット買うときに、ラケットの重さを実際に量りにかける客が何人いるのか(笑)。
 
 多くの購入者は、表記されている重さで判断し、手に持って確認するでしょ?
 
 そんな機械を使わず、その数値そのものが重要視されないのは、実際に振ってみないと分からない、または振ってみれば違いが分かるから、です。
 
 今回の質問に対するBAにもあるように、スウィング・ウェイトはある程度ばらつきが生じます。
 
 これはカーボンやグラファイトを素材として、プラスチック樹脂で固めている制作工程上、避けて通れない「誤差」らしい。
 
 決して不良品ではなく、メーカーごとに許容範囲の指標があるようです。
 
 プロは、1試合で数本のラケットを交換することがあり、そのたびにスウィングウェイトが違っては困るので、できるだけ差異の少ないラケットを事前に準備します。
 
 また、自分のプレーにあったスウィングウェイトが分かっているので、ラケット開発の時にこだわりを見せるプロも多いそうです。
 
 ただ、僕自身は、最近カタログでも紹介されるようになったスウィングウェイトにとらわれる必要は、一般プレイヤーにはないと思います。
 
 いや、スウィングウェイト自体は、自分の理想のラケットスウィングを実現するための「体感」を左右する重要な要素だと思っています。
 
 ですから、「数値」にこだわる必要はない、と言った方が正確でしょうか。
 
 もちろん大きな「目安」にはできるんですが。
 
 以前使っていたラケットのスウィングウェイトがたとえば「280」という数値だとして、同じ「280」のラケットを振って、本当に違和感がないか、といえばそれはそれで違うからです。
 
 もちろん、重さと重心バランスが同じラケットってのよりは、感覚は近いでしょうけど(笑)。
 
 だから、ここらへんはやっぱり、一般プレイヤーは「感覚」でいいんじゃないでしょうか?
 
 物理のお話から、いきなりいい加減な物言いになりますが(笑)。
 
 というのも、特別な機械を使わないと計測できないんだから、自分の感覚に頼るしかないですよね、ってことなんです。
 
 ましてや重量と重心バランスの値は、
 
「スウィング・ウェイトは振ってみないと分からないから、しかたないので『参考にしよう』」
 
 ぐらいの感覚で見て欲しいんです。
 
【次回へ続く】