ここまでお話ししたことをまとめると、
 
「ラケットの『厚い』『薄い』は、人差し指の付け根の位置の違いによって生じる『ラケット面の角度』だけでなく、グリップの方向の違いによる『ラケットと前腕との角度』も重要だ」
 
 ということになります。
 
 それをグラフで表すと、下のようになります(図13)。
 
イメージ 1
 
 ですから、「薄い」グリップを教えるなら、人差し指の付け根の位置だけでなく、グリップの方向を感情線に合わせて始めて、本当の「薄い」グリップを再現できることになります。
 
 かならず両方に気を配らなければ、「中途半端」なグリップになる。
 
 この「グリップの方向」があまり細かく言われないのは、上級者(または勘違い上級者)にとっては「当たり前」だからです。
 
○「薄いグリップ」 = コンチネンタル側の人差し指の付け根の位置+「感情線」グリップ
 
○「厚いグリップ」 = ウェスタン側の人差し指の付け根の位置+「生命線」グリップ
 
 というのが、当たり前のようにできてしまっている。
 
 だから、初心者が「生命線」グリップで握っているのに気づかずに、
 
「手首を『コック』して」
 
 と教えるものだから、ラケットを無理矢理立てて手首を痛めたり、かえってソフトテニスのようなボレーを助長することになってしまいます。
 
 自分の信じる理論についてさえ、常に「なぜ」「どうして」と問い続けなければ、そういうことに陥ります。
 
 よくありがちなのは、テニス雑誌などに書いてあることを、自分がやってみたらうまくいった、という場合。
 
 うまくいくと、疑問を持たないから。
 
 その点、僕は運動神経が悪いから、なかなかうまくいかない(笑)。
 
 だから、考えないといけないんです。
 
「この人は、なんでこういう理論を『正しい』って思ってるんだろう」
 
 なんでもかんでも、理由もなく理論を妄信している人は少なくて、何らかの利点を感じているから、少なくとも自分はうまくいっているから信じているはずですからね。
 
 そういう運動神経がいい人にあこがれはするんですけれどね(笑)
 
 みなさんのグリップは、本当に「薄い」または「厚い」グリップでしたか?
 
 もう一度、確認してみてください。
 
【次回へ続く】