前回は、初期のテニスでは「コンチネンタル」と呼ばれるグリップだったんです、とお話しました。
 
 そして、現代テニス(ローン・テニス)の原型とも言える「スフェリスティキ」が登場し、普及することで徐々に変化が起こってきます。

 最初は、持ち運びもできる用具を含めた「スポーツ商品」として売り出された「スフェリスティキ(テニスの原型)」ですが、商業的には失敗。
 
 まあ、金を払ってまでは。。。って感じだったんでしょうね。
 
 この「スフェリスティキ」を考案したウィングフィールド少佐も、最初は特許を取ったものの延長の再申請はせずに終わります。
 
 ですが、それがかえって契機となったのか、イギリスとアメリカで一気に広がっていくんです。
 
 そこで生まれたのが「イースタン・グリップ」でした(図2)。
 
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 おそらくこのときもまだ、こんな名前はついていなかったと思いますが。
 
 コンチネンタル・グリップよりもわずかに「厚く」にぎる、という言い方をします。
 
 腕をまっすぐに伸ばしたときに、フェイス面が少し見えるようになることで、ラケットが「厚く」見えることからのようです。
 
 この握り方の場合、ラケットのフェイス面を相手に向けようとすると、腕の角度がすこし斜めになることになる
 
 ラケットの振り出し方向に対して力を入れやすくなることで、弾力性のあるゴムのボールも無理なく打ち返せることになります。
 
 この「スフェリスティキ(テニスの原型)」を考案したウィングフィールド少佐は、ウェールズ出身。
 
 ラグビーもサッカーも、ゴルフでさえも芝生でやるスポーツにしてしまったイギリス人ですから、テニスももちろん芝生がメイン
 
 ゴムゴールを使うようになったとはいえ、それほど高いバウンドはしませんでした。
 
「バウンドはするようになったけれども、それほど高くはバウンドしない」
 
 というビミョーなバウンドには、このグリップがちょうど良かったんだと思います。
 
 ですが、このテニスが徐々に普及して行くにつれてさらに変革していくんです。
 
【次回へ続く】