いろいろな技術本で、必ずと言って良いほど書かれていたのは「グリップの握り方」についてでした。
 
 最近は、あまり詳しくないモノも増えています。
 
 身体の動きを覚えればグリップの握り方も自然とついてくるものなんですが、僕にはそんな魔法のような教え方ができないので(笑)、がっつりとグリップから教えます。
 
 また、技術論を説明するときに、このグリップの握り方が前提になっていることが多いので、まずはそれをご紹介しなければいけません。
 
 大切なのは、多くの「動き」には必ず理由があって、そのもとになっている考え方は「無理のない動き」。
 
 特に、手首の角度をいかに自然な状態に保てるか、がグリップの生命線になります。
 
 よく、技術本にも書かれていますよね?
 
「サーブやボレーは、コンチネンタルなどの『薄い』グリップでなければいけない」
 
「フォアハンドストロークは『厚い』グリップでなければいけない」
 
 などなど。
 
 でも、その理由については書いてないんです。
 
 いや、全くないわけではないんですが、
 
「サーブは『薄く』持たないと、いいサーブが打てない」
 
「ボレーは『薄く』持たないと安定しない」
 
「ストロークは『厚く』持たないと、トップスピンがかかりにくい」
 
 と書いてある。
 
 いやいや、その「なぜか」っていうのが知りたいのに(笑)。
 
 ここでは、さまざまなグリップの握り方をご紹介した上で、特に「薄い」グリップについて考察をしていきたいと思います。
 
 そこでまず、グリップの「薄い」「厚い」ということについて。
 
 初心者の生徒に教えるとき、ここでまず、つまずきます(笑)。
 
 だって、なんで「薄い」のか「厚い」のか、言葉の意味がわかんない
 
 諸説あって、どれが正しいのかわかりません。
 
 とりあえず、テニスの歴史とグリップの変遷を見ていきましょう(Wikipediaなどを元ネタにしております)。
 
 1つのボールを挟んで打ち合う、という遊びは古代からあったそうですが、現在の「テニス」の原型は8世紀ごろに誕生したようです。
 
 最初は、手で直接、または手袋をはめてボールをたたき合っていたものが、14世紀ごろにラケットの原型が使われるようになりました。
 
 細かいルールは忘れましたが(一時期、覚えたんだけどなぁ。。。)、コートは四方を壁に囲まれており、この壁面に庇(ひさし)のように斜め下につきだした部分があって、その上を転がすようにサーブを打っていた。。。はず(笑)
 
 多くは室内競技場の形式でおこなわれていました。
 
 フランス革命を勉強していると「球戯場(テニスコート)の誓い」というのが出てきます。
 
 くわしくは世界史で勉強していただけるとありがたいですが、その「球戯場の誓い」の場面を描いた絵画がネットにも公開されていますし、実際の建物も現存していますので、ネットで探してみてください。
 
 このころのボールは、石などを糸でぐるぐる巻きにしたものでほとんど弾力性がありません
 
 野球の硬球のような固さでしょうか。
 
 実際、かなり危険なスポーツで、当時はけが人や、なかには死者も出るほどでした。
 
 ジョアンニ・バティスタ・ティエポロが描いた「ヒュアキントスの死」も有名です。
 
 美少年ヒュアキントスに恋をしたアポロン(もちろん男性神)は、2人で円盤投げをして遊びます。
 
 しかし、そのさなか、ヒュアキントスが円盤に当たって死んでしまう、という場面があるのですが、ティエポロは、それをテニスに置き換えて書いています。
 
 いわゆるギリシャ神話のパロディなんですが、それぐらい「死んでもおかしくない」スポーツだったんですね。
 
 実際、イングランドの王太子がなくなったりしてますし。
 
 現在の「テニス(ローン・テニス)」の原型である「スフェリスティキ」が誕生したのは19世紀
 
 最初は、用具を含めた新しい「スポーツ商品」として考えられたようです。
 
 中空のゴムボールを使い、ルールを変えて四方に壁をいらなくしたことで、一気に広がっていきます。
 
 ボールも、芝生上でヘンなバウンドをしないようにフェルトが巻かれたものが誕生し、それが一般化していきました。
 
【次回へ続く】