さて、前回、生徒に対して、あまりにも適当な道具の選び方をさせているということがばれてしまったので、今回は「グリップの太さの決め方」について、ちょっとまじめに。
ただ、最終的には、結局いい加減な結果になってしまうのですが。。。。それは後で。
ラケットグリップの太さはメーカーによる規格の違いがありません。
実際には微妙に違いがあるようですが、僕はほとんど差は感じません(笑)。
グリップサイズは、グリップエンドのメーカーロゴの隅に刻印してあったり、ラケットの「スロート」の部分にシールが貼ってあったり。
普通のお店にならんでいるラケットを調べてみると(近所の「スポーツデポ」のみなさま、不審な動きをしまして、申し訳なかったです)、「1」~「4」の4段階が主流です。
基本は、グリップの太さを「インチ」で表していて、
1 = 4と1/8 インチ
2 = 4と1/4 インチ = 4と2/8 インチ
3 = 4と3/8 インチ
4 = 4と1/2 インチ = 4と4/8 インチ となります。
5 = 4と5/8インチ のグリップもあるらしいんですが、僕は見たことがないです。
前回も書きましたが、生徒には「細いグリップ」、規格で言えば「1」か「2」を買って、あとでオーバーグリップを巻いて、自分好みの「太さ」にするように指示しています。
僕自身も「2」のグリップのものを買い、YONEXの「ウェットスーパーグリップ」を2本巻いて、「重ね」の部分を幅によって微妙に調節しています。
サイズ「3」や「4」、またはそれらに1枚分巻いてもしっくりこない。
様々なメーカーのいろいろな厚さのグリップもけっこう試したのですが、どうもダメです。
ラケットのグリップは決して正8角形ではありませんが、めんどくさいので(笑)、正8角形としてちょっと計算をしてみましょう。
8角形の8個の中心角は
360°÷8=45°
中心~角の長さを「a」、辺の1/2の長さを「b」とすると、
sin22.5°=b÷a
∴ b = a × sin22.5°
したがって、8角形の周長「y」は、
y = 16× b = 16 × a × sin22.5°
ですから「a」を求める式は、
a = y ÷ 16 ÷ sin22.5° … ① となるわけです。
1インチ=25.4mm ですから、例えば サイズ「2」のグリップの場合、周長「y」は、
「2」=4+1/4インチ = 4.25インチ = 25.4mm×4.25 = 107.95mm です。
sin22.5°= 0.38268.... ですので、式①に導入すると、
a = 107.95 ÷ 16 ÷ 0.38268 ≒ 17.63 mm … ② となるわけです。
これが、サイズ「3」 = 4+3/8インチ = 111.125mm で計算すると、
a = 111.125mm ÷16 ÷ 0.38268 ≒ 18.15 mm …③ になります。
サイズ「2」と「3」の差は、③-②なので、
18.15 - 17.63 = 0.52 mm となります。
サイズが2つ違えば、1.04mm の差が生じることになります。
グリップの形は「正八角形」ではないので、厳密に計算すると違うでしょうが、傾向としてはこんな感じ、ということです。
このため、市販されているオーバーグリップの厚さは0.5~0.6mm前後なんですねぇ。
素材だけではなく、厚さも含めて選ぶ必要があります。
ですから「重ね」の幅を調節するとしっくり来るのに、グリップサイズを大きくするだけではダメだったりするわけです。
僕がよく使うYONEXの「ウェットスーパーグリップ」は、厚さが0.6mm。
重ねの部分を考えると、1回の「巻き」で1サイズちょっと、太くなる計算です。
おそらく僕の手は、サイズ「4」より、少しだけ太い方が良い。
だから、サイズ「4」のままでは細く、サイズ「3」に1回枚巻いただけでは「重ね」の部分を増やしても、微妙にまだ足りない。
かといって、サイズ「4」に1枚分プラスして巻いてしまうと太すぎる、っていう感じ。
それぐらい、掌の感覚は微妙なんです。
感覚神経の数は非常に多いですから。
本当はここで、皮膚感覚の講義をやりたいぐらいなんですが。。。やめときましょう(笑)
さて、グリップを巻くことによって、サイズを1つ分変更させることができることが分かっていただいたところで、実際に何を「基準」にして太さを決めればいいんでしょうか。
次回は、それを考えてみましょう。