さて前回
 
1.「回内」とは、ヒジから先の「前腕」部分をひねるような運動であること
 
2.前腕の構造上可動域が限られており、180°ひねるにはヒジを折りたたむように曲げることもある
 
 などとお話ししました。
 
 さらに、にもかかわらず、
 
3.アザレンカやツォンガの写真のように、ヒジを伸ばしたままのフォロースルーで、180°ひねっているプレイヤーもおり、単純な話ではない
 
 ということもご紹介しました。
 
 今回は、その続き。
 
 前回もお話しししたように、腕を伸ばした状態では、前腕の骨の付け根の位置や回内筋・回外筋の張力バランスから、回内・回外の可動域は100°前後しかありません
 
 にもかかわらず、多くの選手では、鋭いスウィングのためにラケットに強い遠心力がかかり、ヒジが伸びたままフォロースルーをすることも非常に多い。
 
 しかも、そのうえで、腕を180°以上にひねることができています。
 
 これは、前腕の回内運動だけでなく、上腕の「内旋」運動も加えているから、なんです。
 
「内旋」とは、肩からヒジまでの「上腕」を、その長軸に沿って回転させる運動で、腕相撲のような状態で、掌方向に回すことを「内旋」、手の甲方向に回すことを「外旋」と言います。
 
 写真で示すと下図のようになります(図7)
 
イメージ 1
 
 内旋・外旋自体も、大きなの可動域はありませんが、これを回内・回外と組み合わせると、腕を伸ばした状態でも270°近い可動域を作り出すことが可能になるんです(図8)
 
 
イメージ 2
 
 実は、多くの人たちが言っている「プロネーション」とは、本来の「回内(プロネーション)だけでなく、この内旋運動も連動させた「腕全体のひねり」から生じる運動なんです。
 
 コーチによっては「肩を入れる」と表現している人もいるかもしれませんね。
 
 サンプラスなどのビッグサーバーは、この「腕全体のひねり」にさらに「ヒジの折りたたみ」を加えることで、すごくリラックスした状態で腕をひねっているように見えるわけです。
 
 昔のテニス雑誌などには、この「腕のひねり」を「内転」と紹介している本があったためか、40代以上の人だと「内転」と呼んでいる人がいました。
 
 これはまた、さらに違います。
 
「内転筋」という筋肉はきいたことありますよね?
 
 そう、大腿部の内側にある筋肉のことです。
 
 腕には「内転筋」という筋肉こそありませんが「内転」「外転」という動きはあります。
 
 肩を中心にして、腕全体を内側に回すことを「内転」、外側に広げるように回すことを「外転」と呼びます。
 
 下の図のような動きです(図9)。
 
イメージ 3

「欽ちゃん走り」のときの、腕の動きですね(こういう古い例しか思いつかないって言う。。。)
 
 どうしてそういう間違いがおこったのか分からないんですが、今回の腕のひねりとは基本的に関係のない運動なんです。
 
 8年前、Yahoo!知恵袋で「腕のひねり」についての質問があり、ある回答者が、
 
「それは『内転』という動きで──」
 
 みたいに答えると、すぐその数分後にアップされた別の回答者のコメントで、
 
「それは『回内』っていうんだよ!馬鹿が!ド素人が、知ったかぶりしてんな!」
 
 みたいな回答がされていて。。。。こわいこわい。
 
 僕からすれば、
 
「いや、、、、どっちも間違いなんだけど。。。。」
 
 と思ったんですが、巻き込まれたくないのでスルー。。。。小心者でごめんなさい。
 
 さあ、みなさんは「プロネーション(回内)」って言葉、ちゃんと使えてましたか?
 
 間違ってませんでした?
 
 いや、言葉の間違いそのものは、どうでも良いのです。
 
 そうではなくて。。。。
 
 少し長くなりましたので、続きは次回。