daruchanmwのブログ

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   切れることのないアラーム音、運びこまれる妊産婦たち。あの頃にはコウノドリなんて漫画はしらなかった。吊り下げられる輸血パック、多量出血の産婦に繋げられていく、油性マジックでナンバリングしFFP2単位、RBC2単位はどんどん使用されていく。コマンダーとなる医師の指示を受け、それぞれにスタッフは的確に動き出す。

 

 止血処置をされながら、輸血は真っ白で生気をなくした彼女達の頬に赤みがわずかに差し始める。必死に処置する医師の足元には広がる真っ赤な血溜まりは彼ら彼女の靴を赤黒く染み込んでいるのを横目で見ながら、モニターに上がる数値を大声で読み上げ、殴り書きで記録をする、何本目かの輸血が彼女達に入ると、データが安定するのをみて、止血の止めに子宮動脈塞栓術のためにアンギオ室へ移動となる。移動後の処置室は血の匂いと空っぽになった、輸液と輸血パック、処置に使用したものが散乱している、これを掃除するのかとうんざりする気持ちとここまでくれば大丈夫という少しの安堵感が広がっていく。

 搬送されてからは時間との闘いで到着と同時に救命を開始となる、時にはお腹にベビーがいる状態で運びこまれるのだ。必死で指示を受け処置をしながら、どうかこの親子を神様助けてくださいと心の中で手を合わせるのが私のルチンとなっていた。どうか親子を助けてくださいと思いながら、自分自身の心の救済と願っていたのだと思う。

 こんな悲惨な状況から逃げたい、逃げたいと思う自分を助けてほしいと願っていたのだ。その場にいる医療スタッフなのに腹がいつまでもたっても括れないしょうもない人間がワタシだった。なぜか、ワタシは、急変や大きな状況に当たってしまう、持っている人だった。出勤すれば、皆から大人しくしているように言われるのが仕事はじめの挨拶代わりだった。

 同じ職業の人には共感してもらえると思うが、その人がいるときは静かに終わらないと言われる人が必ずいる、その時は私がその役回りが私に当たっていた。その役回りは時として変わることだってあるが誰もそんな役には遭いたくないものだ。

 嫌なことを人はいうものだと思いながら、いつもいつもそんな状況が続くと誰よりも丈夫だと思っていたワタシの心にも身体に変調が起こりだした。

 でも、ここを抜けるわけにはいかない、辞めてしまえば残るスタッフの負担が大きくなると言い出せないまま過ごしていると、ある夏の日にバスを待っている時に青空に広がる入道雲をみていたら、知らない間に涙が止まらなくなっていた。もう限界だと思った。ワタシの能力ではこんな高度な病院で続けることが無理なのだと白旗を上げた。