「釈迦といふ いたずらものが 世にいでて
おほくの人を まよはするかな」
これは室町時代の禅僧、一休宗純禅師が詠んだ道歌だ。
修行中の宗純は、純粋で真面目な禅僧だった。
だが、悟後の一休は破戒僧となり、酒場と女郎屋に通い詰めた。
にもかかわらず庶民から愛され、大徳寺の住持まで務めている。
彼が人気者になったのは、権力に阿る僧侶達を徹底批判したからだ。
一休は、釈迦や経典でさえも、人心を惑わすものと断じている。
仏教や禅のみならず、あらゆる宗教は、他人が開いた道でしかない。
大切なのは、己の手で真理を掴む事である。
他人を崇拝したり、教えの通りにするだけでは、真理は掴めない。
一休禅師はこの道歌で、篤い信心とやらに冷や水をブッ掛けたのだ。
「頼るな、縋るな、祈るな。そんな事をしても悟れんぞ!」
そう高笑いする禅師の姿が、目に浮かぶようである。