僕の家には一輪の赤いバラがある。1週間前におじさんからもらったもの。
とても美しくて、見惚れてしまう。今日なんか18時間は見ていたよ。
しかし、バラをもらってから1ヶ月が経ったある日のこと・・・。
「ちょっと・・・ちょっと!」
「ん?・・・えっ」
なんと、バラが喋ったのである。
僕は驚きを隠せなかった。バラは怒った様子でこう言った。
「あんた、童貞ね!」
「えっ」
僕は童貞ではないのに、何故か童貞ということにされた。
少し腹が立ったが、落ち着いてこう言ってみた。
「か、彼女いますよ。やりましたよ。かわいいの。最近会ってないけど」
「ふーん。まあいいわ。・・・まず顔がダメね。私があんたの彼女だったら、一発殴りたくなるレベル」
「ムカ」
僕はどんどんイライラしてきた。僕だって、お前を今すぐにでも散らしてやりたい。
「あ、あなたこそ彼氏いないんでしょう。処女なんでしょ。ププ」
「あーら。処女と童貞の違い、分かる?」
「わ、分かるとも。毎日ネットを見ている僕にとって、これくらい容易いことです」
バラは今にも僕を嘲笑いそうな顔で、こちらを見ている。
バラなのに顔があるのか、って?知るか。
「こ、コピペを印刷しましたよ。ホラ」
例のコピペが印刷された紙を、バラに向かって差し出した。
弟子「先生、処女を貴重だと思う男は多いですよね」
孔子「その通りだ」
弟子「然し逆に童貞は女に気持ち悪がられます」
孔子「確かに」
弟子「可笑しいじゃないですか、
何故この様な意識の違いが生まれるのですか?」
孔子「それは一度も侵入を許していない砦は頼もしく、
一度も侵入に成功しない兵士は頼りないからだ」
弟子「では30年も侵入を許していない砦は相当頼もしいのでしょうか?」
孔子「建てられてから30年も経つと、砦はどうなるかね?」
弟子「多くは朽ち果て、場合によっては打ち棄てられます」
孔子「その様な砦を攻める者は居ないという事だ」
「そうそう、こういうこと。分かったかい?ボウヤ」
「ぼ、僕はもう23だ。ボウヤじゃない」
「ま、いいけど。じゃあね、オ・ジ・サ・マ」
そういうとバラは、顔も無くなり、いくら揺らしてもピクリともしなくなった。
今ではこのバラは、庭の深い深い土の中です・・・。