思いついたので。
タイトルは『医師はウソは言っていない』


患者「…先生、やっぱり不安です」

医師「心配ご無用。たしかに、技術・体力ともにかなり要する難しい系統の手術ではありますが、今までにも成功例は多々あると聞いています」

患者「……入院する前、この病気について自分なりに調べてみたんですけど、本当に、掛け値なしに難しい手術なんですってね。世界でも名のある名医達がことごとく匙を投げてしまっているとか…」
医師「大丈夫。何せ業界最新鋭のメディカルコンピュータによれば、その手術が見事成功し病気が完治する確率は九分九厘。まあ、場合次第ではこの数値が多少前後、すなわち減少することも考えられますが、それは逆に、増加する見込みもあるということの裏返しなのですから」

患者「………そのメディアルコンピュータ、って、正確なんですか?」

医師「メディ『カ』ルですがね。ええ、それはもう正確この上ありません。先に挙げました多少の数値変化などごくごく微々たるものですから、その点はそうご心配なさらずとも結構ですよ」

患者「…わかりました。僕、その手術、受けてみます! 確率の女神様はきっと僕に微笑んでくれるはずです!」




手術は、大方の見解どおりの結果となった。おそらくその確率の女神サマとやらはせせら笑いを満面にたたえていることだろう。医師はコンピュータのディスプレイをそっと撫でた。



を思いつき、2ちゃんねるのオカルト板に投稿しようとしたのですが、忍法帖やらクッキーやら、得体の知れないシステムに阻まれて書き込めなかったため、忘れないうちに当ブログに載せておこうと思います。
『昨日は山へ、今日は海へ』と同様、レトリックによるささやかな言葉のトリックを利用したものとなっております。やや長めですが、乞うご期待なかれ。



「みなさん、聞いてくださーい。佐々岡クンの好きな人は、なんと、笹村さんでーす」
教室のドアを開けるなり、ランドセルを机に置くのももどかしく、俺は大声で叫んだ。
ともにこのクラスの学級委員をつとめる、通称【SASASASAコンビ】。そのうちの男子のほうが女子のほうのことを好き。
昨日の下校途中、しぶる佐々岡から半ば力ずくで無理やり聞き出したこの意外な事実。
打ち明けさせられたあと、絶対誰にも言わないでよお願いだよ約束だよ、とひれ伏さんばかりに懇願していたところからして、混じりっ気のない本心なのだろう。
俺にとって同様、他のみんなにとってもかなり意外だったらしく、クラス全体がにわかにどよめきだす。
その光景に満足をおぼえつつ、当事者二名のほうへと目をやる。
佐々岡はといえば、凍りついたように身じろぎもせず、静かに着席している。
いっぽう笹村サンはと机のほうを見やる。おや。いない。
タッタッタッタッタッ、バタンバタンッ。
今、後ろのほうの扉から飛び出していったのはきっと笹村サンだろう。あまりのことにいたたまれなくなって逃げたと。その気持ち分かります(笑)。
「おーっと、SASASASAコンビ崩壊の危機かー!?」
と、とどめとばかりにはやし立てながら、想い人の退室にはたしてどう反応するか、とまた佐々岡の様子をうかがう。
佐々岡は、おもむろに席を立ち、俺のいるほうにやおら向きなおる。そして俺の目をまっすぐに見据えつつ、俺のほうへと一歩一歩ゆっくり近づいてくる。
その、やたらと落ち着きはらった動作に、言い知れない不気味さを感じるいっぽう、そんなキャラでもないくせに、必死にワルぶろうとしているらしく、ズボンの右ポケットに右手をつっこむ、いかにも不慣れな仕草を見て、かえって安心感を取り戻した。
「…いい加減にしろよ」
もともと小声な佐々岡の声が聞こえるか聞こえないか、きわどい距離を置いて立ち止まった佐々岡が、いつになく小さな声でボソリとつぶやく。
この『いい加減に』というのには理由があり、じつは俺、この佐々岡の秘密を過去いくつも暴露してきたのである。

「佐々岡クンが職員用のトイレで【大】をしていまーす!」
「佐々岡クンがこないだの金曜日、土手でエロ本を拾ってましたー!」
「佐々岡クンの母親は万引きの常習犯でーす!」

いくらなんでもちょっとやりすぎなんじゃないかとか、これじゃほとんどイ○メだろとか、注意してくるおせっかいなヤツもいるけど、別に俺はイ○メなんかしてるつもりはない。ただフザケているだけ。当の佐々岡だって、気弱そうにながらもいつも笑って許してくれる。一種のジョウダンのつもりだ。
そんな佐々岡が今日にかぎって、俺に歯向かってきた。笑顔の要素のかけらもない、真顔そのもので。
大それた暴露話をしてのけた直後、暴露した者とされた者とが至近距離で向かいあうともなれば、クラスメイトという名の観衆がことさら興味津々げに固唾を飲んで見守る態勢に移るのも当然の成りゆき。
耳ざとく騒ぎを聞きつけた他の教室の連中を含む大勢のギャラリーの手前、ひるむわけにはいかない。佐々岡ごときにひるんだりしたらナメられてしまう。
威嚇のつもりで一言挑発してやろうとした矢先、
「…いい加減にしないと、みんなの前でバラしちゃうよ?」
と、機先を制するように佐々岡がボソリ一言。
内心ヒヤリとした。他人(おもに佐々岡)の秘密を暴いてばかりいる俺は清廉潔白な人間なのかといえば無論そんなはずはなく、後ろめたい隠しごとは山とある。
けど、恐れることはない。何をするにも慎重な俺の悪事が、佐々岡ふぜいに知られてしまうはずがない。
ハッタリだ。俺をビビらせようとしてハッタリかましているだけだ。こいつは何も知らないはずだ。
「…本当に、みんなの前で、バラすよ?」
なおもハッタリをかまし続けようとする佐々岡にイラッときた俺は胸を張って言い返してやった。
「面白いじゃん。バラせるもんならバラしてみろよwwwww」

佐々岡の目に、涙が浮かんだ。

それを文字どおり、すぐ眼前で目のあたりにした俺は、胸が痛んだ。




と、だいぶ長めな話なのですが、最後までお読みになってくださった方、よろしければ感想のコメントなどお願いします。