私の住んでいるマンションのとなりにアパートがある。
自転車置き場とアパートの間には金網がある。
その金網の向こうでアパートの前に椅子をおいて
いつも、すずんでいるおじさんがいる。
おじいちゃん?かな。
自転車置き場に行くたびに
目が合うので、挨拶をするようになった。
ちょっと前までは「本当に暑いですねー」とか、
あたりさわりのない天気の話をしていた。
だけど、このごろはどんどん長くなってきて・・・
今日は10分以上いろいろな話をした。
おじいちゃんが涼んでいる理由は
単純にアパートの中が暑いからだけではなくて
「子供が好きで好きでたまらない」から
私と同じマンションに住む子供たちが
学校・塾から帰ってくる夕方に自転車置き場の見えるところに
陣取って…声をかけていたということ。
子供や孫は、ちょっと離れた所に住んでいること。
口元に大きな傷跡があったのだけれど
13年前に腫瘍か何かができて手術をしたときのものということ。
手術の為、「硬いもの」が食べられず
「おかゆ」といった流動食しか食べられないこと。
(私がサンマをもっていたので、食べ物の話になってわかったこと)
どうやら、私と同じマンションのお母さん&子供で
おじさんが挨拶しても無視するのもいるらしい。
そういうのを見てると「子供の将来を考えて」辛くなるとか。
うんうんと話を聞いていたら
いつもは椅子から動かないおじいちゃんが金網の方…
私の方に歩いて来て
「あんたの顔、よーっく覚えたぞ。
いつも話しかけてくれてうれしいんよ」と笑顔で。
私の母が病気で闘病中の事、離れているから・・・か
父母世代の人と話したりすると心がおちつくし、うれしいんだというと
目を細めて
おじさん:そうかそうか、たいへんやな。
わしがせかしてもしかたないけれど。
子供は早く作った方がいい。
そしてな。わしにも抱かせてよ。
おじさんは子供が大好きだし、
いつも話しかけてくれるあんたのことも好きだ。
ちゃーんとお風呂とかもいれてあげるから(笑)
私:まだ、子供はできないんだけれど。
できたら、大森のおじいさんとして抱かしてあげるよ。
おじさん:絶対だぞ。
あー、約束したから、死ねんな(笑)
おかゆとかしか食べれないから、タンパク質は納豆だけよ。
本当は嫌いなんだけれどな。
そのときがくるまで頑張るとしたら食べんとな。
私:そうよ。ばんばん納豆も食べて、元気でいてよー。
ガリガリでヨレヨレだったら、怖くて抱かせてあげられないわ!
おじさん:おう、そうだな。
私:じゃ、晩御飯作りにかえるねー。
おじさん:ちゃんと旦那にご飯作ってやれよ。栄養たっぷりの。
私:それで太っちゃったのよー
そういって、手をぶんぶん振ると、おじさんも振りかえしてくれた。
まったく子供のできる気配のない私たちだけれど。
もし子供ができたらとを思うと・・・
たくさんの人に自分の子供が愛されたいと思う。
愛してもらえるように、成長を応援してもらえるように
見守ってくれるおじさんのような人に感謝しないと…と思っている。
そして、もし子供ができなかったとしたら
おじさんのように優しく見守れる人になりたいと思う。
だから、おじさんに対して「感謝」と「親しみ」を持って
これからも付き合っていきたいと思っている。