赤い指/東野 圭吾
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介護や親子関係がテーマになっている。
加賀刑事の「平凡な家庭など、この世にひとつもない。外からだと平穏な一家に見えても、みんないろいろ抱えているもんだ」という台詞をずっしりと重く感じる。


この中にでてくる夫婦に対して、歯軋りしたくなるほどの苛立ちと・・・
ほんのすこしだけ救われる部分があるけれど。


嫌になるほど心がゆれた。


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


赤い指を読んだ後・・・
物語の中に認知症がでてくるからだろうか、
祖母のことを思い出した。


6年前に、私の祖母をグループホームにいれるかどうかで、家族会議をした。
一緒に住んでいない父の弟などは
「長男が最期まで面倒をみるべきで、施設に預けるなんて最低だ」と・・・父を罵倒したりもした。
「一緒に住んでいないから、わからないんだ。おじさんのことを怒るな。」と私に父は言った。
施設に預けようと決定してからも両親も私も、やっぱりなんともやりきれない気持ちでいた。
預けないと手に負えないところにきているという自覚もあったのに。


そんなときに
ケアマネをしているの中学からの友達に、ぽろりと祖母のことをいったら。
彼女が笑顔でこう言った。


私らには、まだようわからんけんど・・・
老いる、死ぬっていうのがな、ジワジワと迫ってくるって言うのは
すごい恐怖だと思うんよ。


だからな、その恐怖をな・・・正常なままで受け止めなくてもいいように
神様が認知症をプレゼントしてるんかもしれへんと思うことあるんよ。

楽しかった子供の頃にもどれる魔法かけてくれてるんかもなって。
最期が幸せに迎えられるように、神様に守られたまま天国にいけるように
私ら(職員)は全力で力を貸してあげないかんと思うとるんよ。


家族でな、何とかしてあげたいっていう気持ちもわかるんよ。
でも家族やけん苦しいこともあるだろ?できないこともあるだろ?
おばあちゃんのことで、なんかあったらいつでも相談のるけん、言うてよ~。




彼女の言葉を聞いてから、お金を払って預ける=介護放棄じゃなくて・・・
本人が最期の時をとびきり幸せにすごせるためにプロの力を借りるんだと思うようにした。

父や母にもこの話をした・・・。

胸のつかえが全て取れたわけじゃないけれど。

せめて、そう思うよ・・・としかそのときは思えなかった。




読了後、グループホームにいる祖母の声が聞こえたような気がする。

えんなちゃん、元気にしよんえ?