こんにちは!
私は、現在慶應医学部に通う学生なのですが、本日、慶應義塾大学の三田キャンパスにてサムアルトマン氏と学生との対話会があり、塾生である自分も参加してきました!
せっかくサイト運営をしているので、この気を逃すのは勿体無いと思い、早速対話内容をまとめて記事にしました!

 

 

普段はツールについてが基本なので今回は特例です笑
以下にChatGPTについて話された内容を記事を元に簡単にまとめてみました!

ご存じの方も多いと思いますが、サムアルトマンの経歴を簡単にまとまると、スタンフォード大学でコンピューターサイエンスを学んだ後、大学を中退し、『Loopt』を設立。その後Looptを4300万ドルで売却した後、Yコンビネータ社の代表となったのち、今のOpenAI社のCEOに就任。と言う流れです。
このOpenAI社が作ったChatGPTが今のAIブームを巻き起こしています。

以下はAIに関するサムアルトマン氏への質問とその回答です。

①生成系AIが社会に与える影響について

(1)ChatGPTの言語理解について
質問:ユーザーからは、ChatGPTは言語を理解していると感じられますが、ChatGPTの言語の理解についてどのようにお考えですか。

回答:ChatGPTが言語を理解しているかどうかは、重要ではありません。また、ChatGPTの”理解”については定義が曖昧です。大事なことは、言語を理解しているかどうかではなく、ChatGPTに有用性や価値があるかどうか、そしてそれらを我々が感じられるかどうかです。

おそらくChatGPTの思考プロセスが人間と類似した”考える”動作なのか、計算機としての”計算”に過ぎないのかは重要ではなく、我々がChatGPTを有用なツールとして使えるという事実が大事ということでしょうか。


(2)AI × 教育について
質問:教育現場でどのようにChatGPTなどのAIを活用していけばいいしょうか。(禁止していくべきか, 活用していくべきかなど)

回答:計算機が登場した時は、『数学を教える先生がいらなくなる』『禁止すべきだ』など様々な意見が出ました。しかし今では、計算機というツールは社会に多くの良い影響を与えています。ChatGPTも計算機のような”ツール”であり、人々の潜在的な能力を引き出すものです。学生達が技術に馴染んだり、教育に活用していくことは、社会的進展をもたらすでしょう。これからの子供は新たなAIツールを用いながら学習するべきでしょう。

確かに新規の技術に対して過剰な抵抗が起こること自体は今までも数多くありました。ただ、AIがそれらと同じ類いのものなのかについてはまだ分からないですね..


(3)技術進歩と人々の生活の変化について
質問:生成系AIをはじめとした技術革新によって、生活が豊かになったり、または職を失うといったことが起こりうると考えられていますが、技術革新が与える人々の生活の変化についてどのように考えますか。

回答:生成系AIによって生活が豊かになる、または人々がAIの発展によって職を失う、これらのことは起こるでしょう。また、これらは同時に起こると思います。AIの進歩によって、タスクを消化するという意味で生産性が上昇し、職を失う人も出てくるでしょう。その一方で、プロンプトエンジニアなどの新しい職業が登場したりもしています。“仕事”はより創造性が重要視されるようになると思います。未来では、今では想像もつかないような職業が生まれているはずです。大昔の人が現代の職業を想像できていなかったように。


(4)AIと貧困, 医療について
質問:ChatGPTをはじめとするAIの発展により、貧困で教育や医療を受けられない人たちに対してどのようにアプローチできると思いますか?

回答:今回の技術革新は全ての人に良い影響を与えると思います。例えばChatGPTは認知労働コストを下げ、医療や教育をより簡単に手に入るものにします。医療や教育をほぼ無料で提供できるようになれば、貧しい人々こそ助けられると思います。また、AIの発展により、クリエイティビティや肉体労働の重要性が高まってきています。
講演全体を通して個人的には、サムアルトマン氏は特に”貧困の解決”がAI技術進歩の第一の意義であると捉えているように感じました。

②生成系AIの課題や問題点について

(1)開発スピードとリスクの考慮のバランスについて
質問:技術を進歩させていく上で、開発を急ぐと様々な問題が生じる一方、リスクを気にしすぎても開発スピードが遅れるという問題があると思います。その辺りのバランスについてはどうお考えですか。

回答:倫理的, 法律的な問題については十分な考慮が必要だと考えています。バランスをとりながら、時には開発スピードが遅れてもリスクに向き合うことが大事だと考えています。著作権など様々な問題が考えられますが、皆がwinwinになる形で進められればと考えています。

(2)AIにより問題が生じたときの責任について
質問:OpenAIが開発したAIサービスにより、様々な社会問題が生じたとしたら、サム・アルトマン氏はその責任を感じますか。

回答:AIの進歩に関わる取り組みをしている以上、我々が直接的に関わった内容であっても、他の人が利用している上で生じたものであっても、問題が生じたときは責任を感じるでしょう。その上で、現在どのような取り組みをしていくべきか議論しています。

(3)画像生成, 動画生成などのディープフェイクについて
質問:AIの画像生成や動画生成によって作られたものを現実のものと見間違える人が出てきています。また、その誤解を引き起こすこと自体を狙ったディープフェイクも増加しています。この問題についてどのように対応していく必要があるとお考えですか。

回答:どのように改善していくことができるかを考えることが大切です。各サービス内(webサイトやSNS)で真偽のチェックができるシステムを搭載したり、透かしの機能を利用するなどがあります。各企業が、技術革新と同時に起こるこれらの問題を放置して悪化させたままにするのではなく、改善していく努力をしていくことが重要です。

③起業家として, その他

(1)スタートアップで大変だったこと
質問:今までの人生で最も大きなチャレンジや課題についてお聞きしたいです。

回答:スタートアップの時期が大変だったと思います。何かを成し遂げる時は、時間がかかったり、不確実性が多いことが多いです。とにかくやってみて、問題を解決する自分なりのやり方を見つけていくことが最も重要です。私もお金がなくなったり、採用でうまくいかなかったり、様々な困難を経験しました。その中で、それらの困難に対してどのように対応していくのかを学ぶことが大切です。


(2)意思決定について
質問:重大な意思決定をするときに大切なことはなんだとお考えですか?

回答:限られたデータの中から意思決定をすることは難しいことです。私は、自分よりはるかに優秀な同僚がいて、その中で意思決定をしてきました。困った時には多くの人々に耳を傾けるということが大切だと思います。

(3)チームメンバーのモチベーション維持について

質問:現在のチームメンバーのモチベーションはどのように維持されていますか?

回答:AGIを作っていることがモチベーションになっていると思います。興味深いという潜在的なモチベーションが染み付いています。また、カルチャーとして正しくやろう、役に立とうという精神があります。

(4)AGIの定義について

質問:AGI(汎用人工知能)の定義について、どのようにお考えですか?

回答:ChatGPTがもうすでにAGIだという人もいれば、全くもってAGIではないという人もいます。人間を模倣したものを考えても、それは測定しにくいものです。結論としては、AGIは大きな科学的な進展をもたらすものであると考えています。

(5)ChatGPTのエンターテイメントとしての利用について

質問:ChatGPTの、エンターテイメントとしての利用についてどのようにお考えですか?

回答:私たちは、個人の利用を支援しています。これらの技術に馴染んで、その先にビジネスとしての利用の可能性があります。みなさん(大学生)はこのAI時代においてパーフェクトな年代です。技術に馴染み、人生において技術をどのように使っていくかを考えていってほしいと思います。

(6)AIの未来について
質問:LLMの複雑性を超えてAI技術を進化させるものはなんだとお考えですか?

回答:LLMの未来はもっと発展していくと考えています。画像, 動画などの生成や、 アイデアを出したり、環境問題など様々な問題を解決していく可能性があります。科学的な進歩をもたらすものになると思います。

(7)今大学一年生だったらどうするか
質問:もし今大学一年生になって自由に専攻ややりたいことを選べるとしたら、どうされますか?

回答:何を学ぶのが良いかは大いに変化するでしょうし、そもそも良い悪いの話ではなくなるでしょう。なぜなら昨今のAIの技術はあらゆる分野に対して大きな影響を与えます。もし選ぶなら自然科学を学ぶかもしれませんが、重要なのはクリエイティビティ(創造力), レジリエンス(困難を乗り越える力), 早く変化する力です。これらは専攻に関わらず学べることだと思います。

(8)シリコンバレーで働くには
質問:シリコンバレーで働くためにはどのようなスキルが必要だとお考えですか?

回答:プログラミングスキルや、複雑なシステムを理解する能力が必要になるでしょう。また、広い分野で知見を持つこと、一部の分野については詳しくなることも大切です。全体像を掴むことや、アナリティクス(分析)のバックグラウンドが重要です。尚、OpenAIでは物理学やプログラミングを専攻していなかった人も活躍しています。

(9)ファンタジーを現実にするには
質問:自分の中のファンタジーを現実のものにするにはどうすればよろしいでしょうか。

回答:まず、ただただ目標に向かって作業することが大切です。失敗する可能性は高くても、成功したら大きいものになります。どうしたらいいかは分からなくても、どこに行きたいか、どうなりたいかという目標をわかっておくことが重要です。

(10)終わりに
質問が終了した後、サムアルトマン氏が話された内容です。
 
サムアルトマン氏の言葉:
皆さん(大学生)は本当に良いタイミングに生まれたと思います。このような技術が大きく進歩し、社会が大きく変わるような時期はなかなか訪れません。自分もインターネットが登場した時は本当にワクワクしたものです。ぜひAIを拒否せず、AIに馴染んでより良い使い方で生かしてください。

 

いかがだったでしょうか?サム・アルトマン氏のインタビューは、非常に抑揚のあるはっきりとした話し方で、落ち着きもあり、世界の最先端で活躍する人物の貫禄を感じました。
後もう一つ驚いたのが、学生の意欲の高さですね
質問は英語に限定されていたのですが、それにも関わらず、100人に達するかと言うほど多くの人が手を挙げており、ほとんどの人が質問できないと言う状況でした。

個人的にも貴重な経験となり、よりモチベーションが上がる出来事でした!

今回紹介したサムアルトマン氏が経営するOpenAI社のAIツール『ChatGPT』と『DALL-E』については以下の記事で紹介しているので併せてお読みください。