師匠の祥月命日はお袋の83歳の誕生日でもある。
師匠の誕生日の1月2日が1歳2ヶ月で亡くなった兄貴の祥月命日。
師匠と我が家はクロスする。
お袋は相変わらず元気。
長男坊が先ほどバースデーコールをしてやっていた。
入門初日、両親を連れての挨拶に、お袋はこともあろうに師匠と写真を撮りたがりピースまでしていた。
師匠は苦笑いしながら、
「お袋がこれだったら、せがれは落語家になるわなあ」
と言ってたっけ。
俺が小学校一年か、弟が年中の時、上野動物園にパンダが来た。
片道三時間半かけて家族で上京したのはいいがなんとその日はパンダ館休館日。
あらら、がっかり。
物寂しく白黒モニターが中の様子を伝えるのみ。
弟は友達に「パンダさん観てくる」と自慢していたらしく、「観たいよー」と、泣きじゃくった。
長旅の疲れもあったのか、なかなか泣き止まない弟にお袋は、こう言い放った。
「うるさいわよ!泣くんじゃないの!レッサーパンダで我慢しなさい!同じパンダでしょ!!」
小さい頃から演劇が好きで染谷高校に演劇部を作り、卒業後も上田市内で劇団を結成して活動していたとのこと。
「人間っていいな」の作詞家の山口あかりさんや、
「宇宙戦艦ヤマト」の嶋大輔、
テレビアニメ「明日のジョー」の力石徹の声を担当していた仲村秀生さんと
一緒にかなり賑やかにやっていたのを観た
俳優座一期生の阿部寿美子さんという女優さんから
「東京でやってみないか」とお声がけをいただき、当人もその気になったのだが、
なにせ大工だった堅物の祖父が猛反対してご破算になってしまい、
そんなご破算つながりでいま天職のような算盤塾の現役の先生を続けている。
いましみじみ思った。
俺が東京に憧れるのは、お袋の果たせなかった想いなのかもしれないな、と。
長生きしてもらいたいものだ。
天下の大師匠 談志 の
無茶振りに耐えつづけた9年半で手に入れた、
”笑う”コミュニケーション術