『何かしら?』奥さんは不思議に思いコートのポケットに手を入れると とても暖かい物に触れました。

取りだしてみると、とても小さな仔犬でした。

仔犬は寒さなのか不安なのかとても震えていましたが、奥さんの顔を見ると安心したようにスヤスヤと眠り始めました。


奥さんがおじさんにこの仔犬はどうしたのか聞くと、森の出口で拾った事、多分冷たかったし長い間あそこに横たわっていた様子だからその仔犬は助からないだろうと奥さんに告げました。


奥さんは暖炉の前のソファーに仔犬をそっと置いてキッチンに入って行きました。

おじさんはソファーの上の仔犬を見てちょっとイヤな顔をしました。

そのソファーはおじさんの一番のお気に入りで一番暖かい場所にあったからです。


奥さんは温めたミルクを持って来ると自分の指先に浸けたミルクを仔犬の口に付けました。

仔犬は目を覚ますと奥さんの指先からミルクを舐め取りました。
何度も何度も舐め取りました。


おじさんはその様子を見て『無駄な事を』と思いながら自分のスープを取りにキッチンに向かいました。



お腹も満ち、温まったった仔犬はまた眠りに落ちました。

奥さんは愛奥さんしみながら、怪我をしてないか探るように仔犬を撫でて居ると

『何かしら?』仔犬の首から胸にかけて一瞬光る物を見たような気がしました。

つまみ上げて見ると、ユルくウエーブのかかった白く長い毛でした。

奥さんはその毛を見ながら不思議に思いました。

この辺りに白くて長い毛を持つ動物は居ないはずだと…


奥さんはまた撫でながら仔犬を見ました。

仔犬は全体に白く短い毛で、顔と短めの尻尾は茶色で小さく垂れた耳はビロードの様な綺麗な黒をしていました。

仔犬とはいえこんなに小さい犬も、白い短い毛の犬も見た事がありません。



奥さんは撫でながら仔犬を見ていると仔犬が目を開きました。

アーモンド形の目は茶色く、瞳の縁は薄くグリーンがかっています。

その瞳を見ながら奥さんはある事を思いつくと、仔犬を抱きながら奥の部屋に入って行きました。