大岡越前の名評定に
『三方一両損』
というのがあるそうな。史実ではないとの話なのだが。
ある日、左官の金太郎が財布を道で拾う。印形、書き付け、三両が入っていた。
中身から吉五郎のものと判ったから、金太郎は彼に届けに行った。
ところが
吉五郎『確かに印形と書き付けは俺のものだから貰う。だがその三両は俺のモンじゃねえ。おめえが持ってけえれ。』
金太郎『なにを言ってやがる。そんなつもりで持ってきたんじゃねぇ!俺は受け取らねえよ。』
二人『なにぃ~!』ケンカになる。
仲裁に入った大家さん、ラチが開かず、奉行へ訴え出る。
事の顛末を聞き、越前守、しばし熟考。
越前守『あい判った。
双方に褒美を遣わす。二両だ。』
二人『???』
越前守
『双方とも、意地を張らずにそのまま貰っておけば三両なのに、今渡されるのは二両。
ここにある三両。越前が一両出して、四両。それを半分にして、双方に遣わして二両。つまり一両損じゃ。越前も、今、一両出した。よって一両損。
みな同じように一両損。 これでよいではないか。』
(後略)