コミュニケーション不足の誤解
私の知っているある会社が、ハラスメント相談の増加に悩んでいました。そして、ハラスメント相談が増える原因を会社全体に蔓延しているコミュニケーション不足と仮定しました。そこで、その会社はコミュニケーション不足を解消するために、「挨拶プラスワン運動」を始めることにしました。つまり、挨拶にもう一言加えて、従業員同士が気軽に会話できる雰囲気を醸し出そうというわけです。この会社は、ハラスメント相談の増加をコミュニケーション不足と仮定しましたが、多くの会社は、自社で発生した良くない事象の原因をコミュニケーション不足に求めています。そして、これまた多くの企業でコミュニケーション不足の解消を図っています。しかし、残念ながらそういった努力も多くの場合、成功しません。何故でしょうか?冒頭述べた会社は、コミュニケーション不足を解消するために「挨拶プラスワン運動」を始めることにしたわけですが、そもそもコミュニケーションが不足しているのであれば、挨拶自体がまともになされていないのです。別の言い方をすれば、プラスワン運動の前提自体が揺らいでいるわけです。従って、考えるべきは挨拶すらまともになされない事態がなぜ起こったかということです。何故、ろくな挨拶もなされないのか?実は、簡単です。挨拶をしても返ってこないからです。「おはようございます」と言っても、誰も返答しない。もちろん、その声が小さくて、たまたま誰も聞こえなかったのかもしれません。ですが、挨拶をしても返ってこない日が続けば、誰も挨拶しなくなるでしょう。挨拶さえ返してくれない相手に、それ以上何を話せばよいというのでしょう?こうして、コミュニケーション不足が深刻化していくわけです。コミュニケーション不足に悩む会社というのは、往々にして挨拶ができていません。そういうとそんなことはない、ちゃんと挨拶していると反論されるかもしれません。問題は、相手を選ばず挨拶しているかどうかです。サラリーマンである以上、自分より上の立場の人に対しては率先して挨拶するでしょう。それは、はっきり言って挨拶に入りません。重要なのは、誰に対しても等しく挨拶できるかどうかです。これは、簡単そうですが、意外にできている人が少ないのです。オープンダイアローグでは対話の重要性が主張されています。しかし、対話というものは、何の糸口もなく始まるわけではありません。まず、挨拶から始まって、対話を始められる雰囲気を醸し出す必要があります。すべては、挨拶から始まるのです。挨拶こそ、対話の第一歩なのです。つまり、挨拶が無ければオープンダイアローグ自体も起こり得ないわけです。それほど挨拶は重要なのです。コミュニケーション不足に悩んでいるのであれば、まずは元気な挨拶が飛び交う状態を目指すのが早道です。挨拶が自然に行われるようになれば、対話も自然と活発化していきます。