この夫婦は互いに役場で働いていた。
子供が出来た時にマイホームを建てた。
嫁も産休が終わり職場復帰をしたが…復帰した課が忙しく残業ばかりだったらしい。
嫁は子供が心配で残業が凄く辛くなり次第に心が病んでしまった。
仕事中に突然、笑いだしたかと思えば泣き出したりと
誰が見ても心が病んでるのは分かったそうだ。
嫁の上司は旦那に病院で診て貰い、療養する様に勧めた。
だが旦那は
「住宅ローンがあるから無理です!」
と病院に連れて行くのを断った。
しかし嫁は、どんどんと病んでいくようになり、
嫁の両親も心配になり、旦那と話し合い病院へ行く事になった。
病院からの診断は「うつ病」
医者は旦那に入院させるか自宅で療養する様に伝えたが…旦那は
「住宅ローンがあるから無理です!」
と、また断った。
この旦那は私の店に良く来ていた。
私はこの話を良く聞いていた。
一緒に来ていた同僚達からも
「暫く奥さんを休ませては?」
と、何度も助言されていた。
しかし…旦那は
「住宅ローンがあるから無理!」
毎回、この繰り返しだった。
その後、旦那が私の店に来る事は無かった。
私は旦那の同僚の客に尋ねた
「最近、見ないけど元気にしてるのかしら?」
同僚は少し困った顔をして言った。
「旦那の方も、うつ病になってね…。今は夫婦揃って
療養してる」
と…。
子供と離れる事が辛く残業だらけで心を病んだ嫁。
住宅ローンがあるからと嫁を休ませない様にした結果、心を病んだ旦那。
どちらの方が正しいか私には分からないが何となく、
この結末が分かっていた私だった。