やっと、手に入ったー‼
荒川版で新たに作り直されたアルスラーンの物語を楽しんではいたのですが、最近の誇張されたギャグタッチな描き方に少し違和感を覚えるのです。アニメは……現在、2期放映中ですが1期のある時から観る気が失せました。あまりにもオリジナル要素が多過ぎて、それなのに原作中の名場面・名台詞がことごとく省かれており……がっかりです。動く画で観たかったのにー!
荒川版漫画もアニメも、アルスラーン戦記は原作でなく、原案なのでしょう。田中芳樹版とは別物と考えた方が良さそうです。ダリューンの瞳の色もタハミーネやエステルの髪の色も原作とは違うし。そもそもエステルが別人…。
それはそれでありだと思うし、パラレルとして楽しめたらいいのですが、こっちは遥か昔から原作に親しんでいたのに、期待と裏腹なものがアルスラーン戦記として世にでてしまった、という手前勝手な寂寥感が拭えません。
そんな中で、昔の漫画を思いだしました。
荒川さんより以前に、アルスラーンを漫画化した方がいたのです。しかも、原作者直々の指名で。
それが、中村地里版『アルスラーン戦記』
現在は絶版の上、電子書籍化もされていません。
中古本を探し回り、やっと見つけることができました。
存在は知っていました。今まで手が出なかったのは、単純に表紙の絵が好みでなかったからです。
それが……一読して気持ちを改めました。
何でしょう…この美しさ。荒川版が割りと簡素な絵柄なので見比べてしまうのですが、建物だけでなく背景に描かれた様々なペルシア風の文様、登場人物達がそれぞれ身にまとう衣装が場面場面で一変し、異世界パルスのエキゾチックな雰囲気をこれでもかと醸し出しています。
特にナルサスの髪は、ゆるくまとめてあったりそのままながされていたり、時に三つ編み(!)にされていたりと、ファンとしては、視覚的にも楽しませてもらえました。
あとがきに記述されていたのですが、原作1冊分の内容をコミック1冊にまとめよという、なんとも無謀な要請を受け、エピソードの取捨選択に苦心されたそうです。4巻からは、コミック2冊分(風塵乱舞以降は3冊分)に増やしてもらえたみたいですが。かえすがえすも、最初から十分な尺を与えられていたらと悔やまれます。
そんな過酷な条件の中で、重要箇所を削ることも、キャラの魅力を損なうこともなく(急ぎ足なのは仕方ない!)よくぞここまできれいにまとめたものだと感心させられました。
2巻、ペシャワールに向かう一行が、伏兵に阻まれるシーン、荒川版では変わっていますが、原作では大人4人が輪になって子供3人を守りながら応戦します。ちょっとわかりづらいけれど忠実に描いてくださったのかな?
(地味に好きなシーンなんです)子供達とて、全く非力な存在ではない。いざとなれば大人と肩を並べて剣をふるえるだけの素質を持ち合わせている。それでも大人達に比べればまだまだ未熟であり、その小さき者たちを血の繋がりもない大人達が結束して守り抜くという図に、仲間・主従を超えたどこか疑似家族的な繋がりが感じられるところで、個人的には変えてほしくない場面でした。
中村さんはコミカライズする前から、原作を既読されており、アルスラーンだけでなく他の田中作品も網羅されている生粋の田中芳樹ファンだとか。
ああ、それでなのか…読んでいてのこの安心感、そうなのここはそうなのと頷き共感できる人物どうしのやり取り、心の機敏、互いに思いやり気品ある主従の関係…。
要請され漫画化する為に初めて原作を読むのと、漫画化する以前に純粋に一読者として作品を楽しんだ人との違いでしょうか。荒川版と同じ物語、登場人物も同一人物とは思えません。いえ、台詞は同じでも、解釈の仕方、表現方法でこんなにも変わるんですね。漫画って奥深い。
ふたつの作品に優劣をつけるのではなく、単に好みの問題なのですが、原作に対するリスペクト、キャラクターへの愛情をより深く感じるのは、中村版の方だと私は思います(あとがきからもわかります)。
読了後の充足感は何にもかえて得難く、ただただありがとうという感謝の思いでいっぱいです。
個人的に好きなのは、「芸術は永遠、興亡は一瞬」の名(迷)台詞を吐く時のナルサスの品ある美しさ(奇しくも、荒川ナルサスと同じポーズ!)、アルフリード、ファランギースらの助けをかりて赤子をとりあげたエステルの涙(この作品のエステルはとっても健気です)。シャガードと決裂し舘から戻ってきたナルサスの表情に心配するアルスラーン(殿下の素直さ優しさに惚れました)とその後のダリューンとの会話。あとセリカ風の挨拶するグラーゼが格好いいです。
不思議なもので、中村版を読んだことで、パラレルな荒川版に対し素直に向き合いもう一度楽しめるようになりました(アニメだけは受け入れ難いですが)。
色んなアルスラーンがあっていい。人の数だけ解釈が成立する。数多ある物語の中で、原作の輝きだけはきっと時代を経ても変わらない。
そして、その原作を愛をもって、忠実に華やかに品よく彩ってくれた中村版は、書棚の原作の隣にいつまでも置いておきたい。
復刊してほしいなあ。
荒川版で新たに作り直されたアルスラーンの物語を楽しんではいたのですが、最近の誇張されたギャグタッチな描き方に少し違和感を覚えるのです。アニメは……現在、2期放映中ですが1期のある時から観る気が失せました。あまりにもオリジナル要素が多過ぎて、それなのに原作中の名場面・名台詞がことごとく省かれており……がっかりです。動く画で観たかったのにー!
荒川版漫画もアニメも、アルスラーン戦記は原作でなく、原案なのでしょう。田中芳樹版とは別物と考えた方が良さそうです。ダリューンの瞳の色もタハミーネやエステルの髪の色も原作とは違うし。そもそもエステルが別人…。
それはそれでありだと思うし、パラレルとして楽しめたらいいのですが、こっちは遥か昔から原作に親しんでいたのに、期待と裏腹なものがアルスラーン戦記として世にでてしまった、という手前勝手な寂寥感が拭えません。
そんな中で、昔の漫画を思いだしました。
荒川さんより以前に、アルスラーンを漫画化した方がいたのです。しかも、原作者直々の指名で。
それが、中村地里版『アルスラーン戦記』
現在は絶版の上、電子書籍化もされていません。
中古本を探し回り、やっと見つけることができました。
存在は知っていました。今まで手が出なかったのは、単純に表紙の絵が好みでなかったからです。
それが……一読して気持ちを改めました。
何でしょう…この美しさ。荒川版が割りと簡素な絵柄なので見比べてしまうのですが、建物だけでなく背景に描かれた様々なペルシア風の文様、登場人物達がそれぞれ身にまとう衣装が場面場面で一変し、異世界パルスのエキゾチックな雰囲気をこれでもかと醸し出しています。
特にナルサスの髪は、ゆるくまとめてあったりそのままながされていたり、時に三つ編み(!)にされていたりと、ファンとしては、視覚的にも楽しませてもらえました。
あとがきに記述されていたのですが、原作1冊分の内容をコミック1冊にまとめよという、なんとも無謀な要請を受け、エピソードの取捨選択に苦心されたそうです。4巻からは、コミック2冊分(風塵乱舞以降は3冊分)に増やしてもらえたみたいですが。かえすがえすも、最初から十分な尺を与えられていたらと悔やまれます。
そんな過酷な条件の中で、重要箇所を削ることも、キャラの魅力を損なうこともなく(急ぎ足なのは仕方ない!)よくぞここまできれいにまとめたものだと感心させられました。
2巻、ペシャワールに向かう一行が、伏兵に阻まれるシーン、荒川版では変わっていますが、原作では大人4人が輪になって子供3人を守りながら応戦します。ちょっとわかりづらいけれど忠実に描いてくださったのかな?
(地味に好きなシーンなんです)子供達とて、全く非力な存在ではない。いざとなれば大人と肩を並べて剣をふるえるだけの素質を持ち合わせている。それでも大人達に比べればまだまだ未熟であり、その小さき者たちを血の繋がりもない大人達が結束して守り抜くという図に、仲間・主従を超えたどこか疑似家族的な繋がりが感じられるところで、個人的には変えてほしくない場面でした。
中村さんはコミカライズする前から、原作を既読されており、アルスラーンだけでなく他の田中作品も網羅されている生粋の田中芳樹ファンだとか。
ああ、それでなのか…読んでいてのこの安心感、そうなのここはそうなのと頷き共感できる人物どうしのやり取り、心の機敏、互いに思いやり気品ある主従の関係…。
要請され漫画化する為に初めて原作を読むのと、漫画化する以前に純粋に一読者として作品を楽しんだ人との違いでしょうか。荒川版と同じ物語、登場人物も同一人物とは思えません。いえ、台詞は同じでも、解釈の仕方、表現方法でこんなにも変わるんですね。漫画って奥深い。
ふたつの作品に優劣をつけるのではなく、単に好みの問題なのですが、原作に対するリスペクト、キャラクターへの愛情をより深く感じるのは、中村版の方だと私は思います(あとがきからもわかります)。
読了後の充足感は何にもかえて得難く、ただただありがとうという感謝の思いでいっぱいです。
個人的に好きなのは、「芸術は永遠、興亡は一瞬」の名(迷)台詞を吐く時のナルサスの品ある美しさ(奇しくも、荒川ナルサスと同じポーズ!)、アルフリード、ファランギースらの助けをかりて赤子をとりあげたエステルの涙(この作品のエステルはとっても健気です)。シャガードと決裂し舘から戻ってきたナルサスの表情に心配するアルスラーン(殿下の素直さ優しさに惚れました)とその後のダリューンとの会話。あとセリカ風の挨拶するグラーゼが格好いいです。
不思議なもので、中村版を読んだことで、パラレルな荒川版に対し素直に向き合いもう一度楽しめるようになりました(アニメだけは受け入れ難いですが)。
色んなアルスラーンがあっていい。人の数だけ解釈が成立する。数多ある物語の中で、原作の輝きだけはきっと時代を経ても変わらない。
そして、その原作を愛をもって、忠実に華やかに品よく彩ってくれた中村版は、書棚の原作の隣にいつまでも置いておきたい。
復刊してほしいなあ。