◎武田邦彦 【ツバル、最終決着 NHKの虚偽報道が明らかに】
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鳩山政権の無策、そして菅政権の誕生と何もしないまま日本の時が過ぎている時,イギリスの科学雑誌,「ニューサイエンティスト」が小さいが驚くべき記事を出した。
それは「沈んでいると報道されていたツバルの島の面積が3%以上、増えていた」という論文だった。
南太平洋に浮かぶ島。かつて日本軍が一時、駐屯し、ガダルカナル戦の後,アメリカ軍が占領していた島、ツバル、その島が地球温暖化で沈んでいると、NHKが繰り返し報道した。
日本を「地球温暖化ヒステリー現象」とでも言った方が良い状態だった2006年、NHKは大部隊をツバルに派遣して、「温暖化で沈みゆくツバル」の「生映像」を取り,それをNHKスペシャルで40分にわたって放送した。
「地球温暖化で島が沈むという現実を前に,私たちは直ちに行動を取らなければならない」という趣旨のことをディレクターが言い、日本人を錯覚させ、鳩山首相の嘲笑演説に繋がった。
でも、事実はやがて明らかになる。
2008年になると、どうも海水面はそれほど上がっていないことが判ってきたり、広い太平洋では海水温も場所によって違い,海水面はさらに月の引力や地形などによるので、一概に言えないことが理解された。
そして、少しずつ「ツバルが沈んでいる」ということに疑いの目が投げかけられた。
2010年6月の「ニューサイエンティスト」の論文は「変形する島々が海面上昇を否定」という名前がついている。
明確な論文で、過去60年間に撮影された航空写真と高い解像度をもつ人工衛星の写真を参考にして、ツバルを初めとした太平洋の島の面積を測定した結果を整理したものである。
そこには、南太平洋の海水面は60年前よりも12センチ程度、上昇しているが、それによって島の面積が小さくなっているということは無いことを明らかにしている。
もともと、海というのは、毎日、満潮と干潮で2!)近くは上下し、地盤沈下,波の浸食などで、陸地と海の関係は複雑に変わる。
事実、日本の例では大阪が地下水のくみ上げなどで、この100年に約3!)も地盤沈下した。ということは3!)も海水面が上がったことを意味しているが,それでも大阪はなんということなく人間が住み,生活をしている。
論文の紹介をつづけよう。
ツバルという国は主要な島、9つからなるが、そのうち、7島の面積が増大し、3割も面積が増えた島もあった。もちろん、日本のマスコミや温暖化脅威論の専門家が繰り返していたような「沈むツバル」などというところはまったく無かったのである。
(言うまでもないかも知れないが,「沈めば」、「島の面積は減る」)
ツバルの問題で、もっとも大きなことは「事実と異なることでも平然と報道したNHK」が存在することが証明されたことだ。「ジャパンデビュー」での台湾報道も同じだが、「NHKは事実を知らせてくれる」と信じて疑わなかった日本の素朴で真面目な国民はすっかりバカにされたことになった。
第二に、温暖化、海水面の変動,サンゴ礁など「ツバルの沈没」について詳しい科学的な知識を持っている専門家が、その専門性を捨てて、ウソをついたということである。
ここで、「ウソ」と言ったのは、2010年の論文がでて、始めてツバルが沈んでいないことが判った訳ではないからだ。専門家は知っていたのである。
すでに、事実はハッキリしている。それは「ツバルは変わっていない」ということだ。将来のことならともかく、「現在、ツバルはどうなっているか」は「今」だから、別に議論はいらない。ツバルが沈んでいるかいないかはツバルに行って観測すれば判る。
それでも、NHKや朝日新聞などの不誠実なマスコミ(おそらくはマスコミとも呼べないが)は、「ツバルの子供たちが「温暖化だ」と言っている」というような断片的な報道を繰り返して、事実を覆い隠していた。
なぜ、視聴者や購読者のためにテレビを放送し、新聞を発行しているマスコミがウソをつかなければならないのか、それは次回に解説を加えたい。
ともかく、
「現在、ツバルは沈んでいない」
ということは事実だから、それを認めなければ話は始まらない。さらに、ハッキリ言えば事実は「認める,認めない」の問題ではない。事実そのものに素直になれば、そのままなのだ。
しかし、恐ろしく、情けないことだ。
ツバルが沈んでいるかいないかは現地に飛んでヒコーキから島を見れば判る。それを白昼堂々とウソをつくのだから、NHKの現状は目を覆うばかり。
このことは単に環境とか温暖化の問題に止まらない。極めて重要な歴史認識、国際的事件などでも平気でヤラセ報道をする体質を持ち始めているということでもある。
(中部大学教授 工学博士)