鳩尾
世界なんて大して変わらなくて
どこに何を書き連ねたとしても何もはじまる気配がない。
開けてみればどこだって同じようなものが広がっていて
どんどん濁った気配が押し寄せる。
開けた瞬間から押し寄せる。
確実に押し寄せる。
踵返すこともなく一瞥し、ただただ進んでいる模倣。
穿たれたい一心で、穿つものを探している。
そんなものどこにもなくて
結局脳に戻るだけなのかもしれない。
いつまでも終わらないクルージング。
スプートニク
『わたしにはそのときに理解できたの。
わたしたちは素敵な旅の連れであったけれど、
結局はそれぞれの軌道を描く孤独な金属の塊に過ぎなかったんだって。
遠くから見ると、それは流星のように美しく見える。
でも実際のわたしたちは、ひとりずつそこに閉じこめられたまま、
どこに行くこともできない囚人のようなものに過ぎない。
ふたつの衛星の軌道がたまたまかさなりあうとき、
わたしたちはこうして顔を合わせる。
あるいは心を触れ合わせることもできるかもしれない。
でもそれは束の間のこと。
次の瞬間にはわたしたちはまた絶対の孤独の中にいる。
いつか燃え尽きてゼロになってしまうまでね』
