彼女がいなくなるのは、春だとばっかり
勝手に思っていました。
実際には11月の、
すこしずつさみしくなっていく季節。
そんな秋の日に、
彼女はお空にかえって行きました。
昨年のきょうは、わたしたちが大切にしていた
ねこ①がその生涯に幕を下ろした日です。
異変が起こり始めたのは、さかのぼること
これより約一年前のことでした。
食事をとりづらくなり、
お医者様に診ていただきました。
すると急性腎不全を起こしていました。
その時は、なんとか治療により
少し回復して安心していましたが、
お医者様曰く、「あまり予後がよくなさそう、
もう一度急性を起こしたらその時は…」
そんなこんなで一年ほど経ちました。
そして、ある日から何度かの嘔吐。
食欲も落ち、これはまずいと
病院に駈け込みました。
血液検査を行ってみると、
再度急性腎不全を
発症してしまったことがわかりました。
もうそこからは
あっという間だったといえるかもしれません。
毎日点滴には通いましたが、
食欲も戻らず
おしっこもほとんどでなくなりました。
もうこれ以上の点滴、
病院通いはねこ①を
苦しませるだけなんじゃないか。
そう考え、点滴もおしまいにしていただき
うちでできるだけ
のんびりしてもらうことにしました。
もう食事もお水も一切摂らず、
暗くて寒い人間用の
トイレにこもって眠るように。
「もう、たぶん明日だ」
そう感じたわたしは、
トイレに枕と布団を持ち込み、
(汚いとかそういうのは言いっこなし!)
その晩ねこ①と眠りました。
ねこ①は、いつものようにわたしの枕に
わたしと一緒に顔をうずめて眠っていました。
ちなみにその晩トイレにいきたくなった夫は、
近くのコンビニまでトイレにいったそうです…
ごめんよ、夫。
そして次の日。
ねこって、
顔も身体も全体毛におおわれているのに、
こんなに「顔色が悪い」ってわかるんだ、
っていうくらい真っ青な顔で、
いつも寝ていたお気に入りのクッションに
横たわっていました。
耳のうっすら透けていた血の色も、
鼻のつやつやとしたピンク色も、
今はもうありません。
瞳はどこかぼんやりとしていて焦点が
あわないような感じなのに、
こちらをじっと見つめています。
その日わたしは幸いにも仕事は休み。
夫は午後から仕事でした。
わたしひとりでねこ①に寄り添って、
いろいろなことを話しました。
ねこ①はうちに来る前は、
近所ののらさんとして
きょうだいとともに暮らしていましたが、
ある日突然きょうだいはいなくなり、
ねこ①だけに
なってしまいました。
または、自分では
登れないようなところに登って
みーみー鳴いて助けを求めてみたり、
あるいはどうやってそんなところに?
という下水管の中に入っていたりと、
不思議な現象がよく起こる子でした。
あのときのあれ、なんやったん?
そんなことをひとつひとつ思い出しながら
ひとつひとつ尋ねてみたり。
そんなお話をいろいろとしていくうちに、
ねこ①はだんだんと
呼吸が弱くなってきました。
そして、ゆっくりとほんの少し顔をもたげて
じっとわたしの目を見つめると、
少し安心したように
すう…っと息を大きく吐いて、
この世にお別れを告げて旅立っていきました。
ねこ①は、
15歳と9か月のねこ生を終えました。
そのお顔は安らかで、
なんだか幸せそうに笑っている
生きていたときの
ねこ①の表情を思い出しました。
いろんなことがあったね。
楽しかったことうれしかったこと、
ときにはつらいこと、しんどいこと。
でも、わたしたちと一緒にいてくれて、
ほんとうにありがとう。
わたしたちはあなたのことが、
本当に本当に大好きでしたよ。
ねこ①も、わたしたちと一緒でよかった、
とそう思ってくれたらうれしいけど…
つもる話の続きは、
また次に出会えたときにね。
次会えるのがいつになるかわからないですが、
先人たちが考えてくれた、
生まれ変わりという
素敵なシステムに乗って、
再会できる日が来たらいいな。
その日がくるまで、
ほんの少しのお別れです。
ねこ①、またね。
