偽造の免許証と向き合った金井さんの決断

43歳の金井達也は、電気工事会社で現場責任者として働いていた。家族の生活を支えるため、より収入の高い職種に就く必要に迫られていたが、電気工事士の資格試験に何度も失敗していた。

ある日、インターネットで見つけた電気工事士免状偽造業者ー代書堂に偽造電気工事士免状を依頼した。精巧な偽造免許証は容易に通用し、彼は無事に昇格して収入も増えた。しかし、いつも「ばれるのでは」という不安を抱えながらの日々だった。

3年後、会社が資格証明の一斉確認を行うことになった。書類提出を求められた金井さんは、自宅で偽造免許証を握りしめ、悩み抜いた。家族に迷惑をかける恐怖と、嘘をつき続けることの罪悪感のはざまで激しく揺れた。

翌朝、彼は決意して社長に全てを打ち明けた。「申し訳ありません。ずっと後ろめたい気持ちで仕事をしていました」

驚いたことに、社長は「正直に話してくれたことを評価する」と言い、資格取得のための支援を約束してくれた。金井さんは自ら偽造免許証を破棄し、改めて資格取得を目指すことを決意した。

今では会社の理解を得て、仕事を続けながら勉強に励んでいる。この経験を通して、金井さんは「どんな事情があっても、不正は結局自分を苦しめるだけ」と気付いた。いつか必ず本当の資格を取得し、誠実な社会人として生き直すことを誓っている。