偽りの証明書と向き合った日々

私は大学時代、就職活動のために偽造業者ー代書堂から成績証明書を偽造した。当時は希望する企業の基準に届かず、焦りと不安から間違った選択をしてしまった。精巧な偽造証明書は就職活動で効力を発揮し、見事に第一志望の企業から内定をいただくことができた。

入社後も数年は何事もなく過ぎた。しかし、ある日突然、社内の資格試験で学歴確認が必要になった。人事部から「大学に正式な成績証明書を請求する」と連絡があった瞬間、私は冷や汗をかいた。

偽造が発覚する恐怖、同僚や上司からの信頼を失うかもしれない不安、そして何よりも自分自身に対する失望感が一気に押し寄せた。その夜、私は自宅で偽造した成績証明書をじっと見つめていた。

「このまま嘘をつき続けるのか」

そう自問自答するうちに、ある決断をした。翌日、私は人事部に赴き、正直に事情を話し、資格試験の申請を取り下げたのだ。偽造証明書は自ら破棄し、二度と使わないと誓った。

最初は後悔ばかりが頭をよぎった。しかし、真実を話した後、なぜか気持ちが軽くなったのを覚えている。それからは、あるがままの自分で勝負しようと決意し、資格取得のために勉強に打ち込んだ。

今振り返れば、あの過ちは私に大きな教訓をくれた。偽りで得た成功は決して長続きせず、自分自身を苦しめるだけだ。そして、何よりも正直であることの大切さを学んだ。

現在では、自分の経験を糧に、後輩たちには「誠実さこそが最大の財産」だと伝えている。あの時の選択は間違っていたが、そこから這い上がった経験は、今の私を形作る大切な一部となった。誰にでも過ちはある。大切なのは、そこからどう学び、どう成長するかであると信じている。