私が寝てる間に何があったの?


死んでるの?


パニックになりながら皆んなの身体をひたすら揺すった


誰も目を開けない


ドアを叩く音が止んだ


人感センサーのライトが付いている


通路側の小窓


カーテン越しに人影が揺らめいた


外の通路を


沢山の人が列をなして進んでいるように見える


ゆらゆらと横向きの人影が進んで行く


そしてそのまま気を失った。


どれくらい気を失っていたのか?


目覚まし時計が鳴った


午前6時


同僚達は?と部屋を見渡す


3人はまだ床に横たわり


1人はシャワー

1人はトイレ、1人は洗面所


床に転がってるゴリラ達の身体を揺する


『うぅ~』唸り声


生きてる 良かった❗️


1人足りない💦


洗面所にいる同僚に彼女は?と聞くと

『なんか一旦家に帰ってから出勤するから始発で帰るって帰ったよ』


私は夜中の出来事を皆んなに話した。


だけど誰も玄関のドアを叩く音は聞いていないし、

起こされた記憶もないと言う


『寝不足だったし変なことだらけで、夢に見たんじゃないの?』


そう言われてしまうと

私自身もあれが現実か夢か断定することは難しい。


だけど、同僚が生きていてなんともないなら

それでいい 夢の方が絶対良い


支度を終えて、皆んなで部屋を出る

玄関の鍵をかけ視線を上げる


『ねえ!これ何に見える?』

扉を指差しながら言う


目の前の扉に無数の手のひらの跡があった


やっぱり

誰かが扉を叩いた?

叩いていなくても扉を触っていることは間違いない


アパートでもちろん管理人なんて常駐していない

月に1回程度アパートの共有部分を

業者が掃除に来ると契約時不動産屋さんに言われた。


もちろん扉を吹き上げるなんて親切もない


昨日の朝ってどうだった?

記憶にない


もしかして前からあったのか?

わからない


午前中はまさに『心ここにあらず』な状態


仕事にならない


ランチをしながら泊まりに来てくれた

他の同僚4人にも昨晩の出来事を話した。


最初は笑い飛ばしていたが、私達の怯え方が

尋常でないことを感じ、本気で向き合ってくれた。


同僚の1人が

『怖がっていても仕方ないし、なんなのか確認した方がよくない?』


はぁ?私が?1人で?冗談じゃない!無理でしょ!

口には出さなかったが、顔には出ていたらしく


同僚が

『ウチの部署にオカルト系得意な男子がいるから今日同行できるか聞いてみるよ』


定時で仕事を終えて、前回と同じメンバーと

体格の良い男子3名がプラスされていた。


私以外は遠足にでも行くようなテンションだ


私1人

危害が加わるような出来事に同僚を巻き込んでしまうのではないか?


原因なんて分からなくていいから、何かが起きる前に

あの部屋から出たほうがいいのでは?


グチャグチャ考えている内にアパートに着いた


同僚

『大丈夫だよ!こんなゴリラみたいな奴等がいるんだから、それに今までも部屋には入って来ていないってことは空き巣や泥棒でもないんじゃない?』


前回同様

食料、お酒、お菓子を準備して

日付が変わる頃には、皆んなすっかりご機嫌な感じになっていた。


私は数日間ろくに寝ていないことや皆んながいてくれる安心感から午前1時にはウトウトし始めていた。


微睡の中


バンバン と 玄関のドアを叩く音がした。


バンバン バンバン バンバン どんどん叩き方が

激しくなる


ビックリして飛び起き、目を開けて部屋を見渡す


同僚達全員 床に横たわっていた


『起きて!起きて!』身体を揺すっても

誰一人目を開けない


その日の夜中 午前2時過ぎ


取り付けた玄関のライトが付いた。


眠っていた友人を起こす

人の声はしない

人感センサーは動物でも反応すると説明書にも書いてあった

猫?ネズミ?

2人で通路側の小窓を見つめる

遠くの方からパタパタと足音が聞こえた。

だんだんと足音が近づく

今日は1人分だ

確実に足音は大きくなりこちらに向かってきた。


足音が小窓の前あたりで消えた


ライトは点灯したまま消えない


センサーが感知する何かがそこには居る!


だけど確認する勇気は微塵も起きない


小窓からは人感センサーライトの灯りがまだ


カーテンの隙間から差し込んでいる


電話の子機を握りしめて、

同僚と布団を被り手を握りあっていた


どれくらいの時間がたったのか

物音はしなくなり、布団から少し顔を出す

室内は変わらず人の侵入もない


人感センサーのライトも消えていた


時計を見ると午前5時

うっすらと夜が開け始めていた


同僚は

『この現象普通じゃないよ!人間でも人間じゃなくてもヤバいって、何か起こる前に意地張らずに実家に戻った方がいいよ』

心配してくれる同僚の言葉を聞きながら


心の中では、

両親にあんな啖呵を切って始めた一人暮らし

1週間もたたずに実家に戻ったら、何を言われるかと考えると実家に戻る気にもなれない


とにかく今は、

この部屋にいたくなくて、支度をして早々に出勤することにした。

会社には着いた